文鳥と筆羽出血
トップ画像:座って講義するぽん先生(@comatsu_cotoLi)
筆羽出血(ひつうしゅっけつ)とは、まだ成長途中の羽である筆羽を損傷することによって発生する出血で、通常の出血よりも止血が難しいのが特徴です。
とはいえ、きちんと処置すれば致命傷には至らないので、冷静な対応が重要です。
新生羽毛は羽鞘というサヤに包まれており、この状態は筆毛あるいは筆羽(ひつう)といいます。
筆羽の中には血管が走り、血液が供給されることによって羽は成長していきます。
完全に成長すると血液供給は停止され、中は空洞になります。
筆羽の参考:正羽-翼に生える立派な羽
筆羽の損傷が重度の出血を招く理由
まだ血液が供給されている筆羽が傷つくと激しい出血を起こします。しかも、硬い羽鞘がジャマになってなかなか血が止まらず危険です。
通常のケガであれば、血が出ても傷口周囲の組織が収縮して止血されます。
しかし、筆羽の損傷は、言うなれば傷口に硬いストローが刺さっているようなものです。傷口をせばめて止血することが難しくなっています。
文鳥の安全出血量は小さじ20分の1杯未満
健康な鳥の安全出血量は体重の1%程度です。
文鳥の標準的な体重は22g~27g程度ですから、安全出血量は0.2g程度です。
これは、小さじ20分の1杯よりもらに少ない量です。
筆羽出血で重度の出血が発生した場合、近くに診療時間中の獣医があればよいですが、そうでない場合は飼主による応急処置で止血する必要があるでしょう。
応急処置
筆羽を損傷して血が出ても、自然に血が止まっていれば特に治療の必要はありません。
また、血が止まらなくても安全出血量以内のゆっくりとした出血であれば、何もせずにかかりつけの獣医師のもとへ連れて行く方が安心でしょう。
しかし、筆羽を損傷して激しい出血が止まらない場合、応急処置が必要です。
出血している筆羽の上から、脱脂綿やティッシュペーパーを使って圧迫止血を行いましょう。アメリカでは血を止めやすくするために、脱脂綿にコーンスターチをまぶして圧迫止血を行うこともあるようです。
外用薬や消毒薬、止血剤などを使用してはいけません。
もし応急処置によって出血が止まったら、文鳥をケージに戻して安静にさせ、1時間ほど様子を見ましょう。完全に血が止まっていれば問題ありません。
圧迫止血を行っても血が止まらない場合は、出血している筆羽を根本から抜いて止血を行う必要があります。ピンセットなどを使い、筆羽が生えている方向に沿ってまっすぐ引き抜きます。引き抜いたら、傷口に脱脂綿やティッシュペーパーをあてて圧迫止血します。
とはいえ、動いている文鳥の筆羽をまっすぐ引き抜くのは難しい作業です。可能であれば無理をせず、かかりつけの獣医師に処置してもらいましょう。
上記の応急処置がよく分からない、自信が無いという場合、焦らずにかかりつけの獣医師に電話連絡し、指示を受けながら冷静に処置しましょう。
筆羽出血の原因と予防
筆羽の損傷は、パニック時の打撲や羽咬などによって発生します。
パニックを起こしやすい個体は狭いケースに入れると事故の頻度を減らすことができます。
参考文献
書籍
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