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正羽-翼に生える立派な羽

換羽中の羽繕いをするぽん先生
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トップ画像:換羽にも関わらず学生に正羽を披露するぽん先生(@comatsu_cotoLi

正羽(せいう)は翼や尾などに生えている立派な羽です。

硬い軸の部分も含めてタンパク質でできています。

構造の概要

正羽には羽幹(うかん)という軸の部分があります。

羽幹のうち、毛が生えている部分を羽軸(うじく)といい、羽の根本で毛が生えていない部分を羽軸根(うじくこん)といいます。

羽幹は羽包(うほう)から生えています。羽包には筋肉がついているため、寒いときや怒ったときに毛を逆立てることができるのです。

羽軸からは、一本いっぽんの毛である羽枝(うし)が伸び、羽枝が整然と並ぶことで一枚の平面(=羽弁:うべん)を形作っています。

こちらを伺うぽん先生
学生が講義に集中しているか確認するぽん先生

文鳥の羽にはフックがある

羽軸という幹と、そこから伸びている枝である羽枝ですが、実は羽枝からも非常に小さな枝である小羽枝(しょううし)がたくさん生えています。

小羽枝にはフックがついている有鈎小羽枝(ゆうこうしょううし)と、フックがついていない弓状小羽枝(きゅうじょうしょううし)の2種類があります。

有鈎小羽枝のフックが弓状小羽枝にガッチリと引っ掛かることによって、羽は軽さと丈夫さを両立しているのです。

フックで引っ掛かっているだけなので簡単に解けてしまい、ボサボサになってしまいます。

しかし、クチバシで挟んで撫でてやれば、つまり羽繕いをすれば再びフックが引っ掛かり、羽を最適な状態に戻すことができるのです。

羽繕いに夢中な文鳥さんの様子

なお、羽枝と小羽枝の様子については次の動画が参考になります。

発生

発生の概要

新しい正羽は羽鞘(うしょう)というサヤに包まれて皮膚から生えてくるので、筒状になっています。

先端だけが開いており、根本に向かってサヤに包まれている様子から、筆毛(ふでげ)・ピンフェザー(Pin feather)と呼ばれます。

筆毛がツンツンしている文鳥さんの様子

サヤはクチバシで除去され、中の羽枝が乾いて開くと、1枚の羽になります。

筆毛には血管が通っており、血液を供給されつつ成長していきます。

したがって、筆毛が傷つくと大出血を起こします。

筆毛は硬いサヤに囲まれているために傷口を閉じることができず、血が止まりにくいという特徴もあります。

正羽が完全に成長すると血液供給が止まり、羽軸内は空洞になります。

文鳥の羽はタンパク質

羽毛はケラチンというタンパク質から構成されています。

ケラチンは複数種類のアミノ酸から合成され、アミノ酸の比率によって硬くなったり柔らかくなったりします。

参考:毛髪の基礎知識 6-1.ケラチンは丈夫な蛋白質(人の毛髪ですが参考にはなります)

アミノ酸からケラチンの合成を行う臓器である肝臓、その他内分泌要因などによって、羽毛の発生は影響を受けます。肝機能に障害があると羽毛に影響が出る原因の1つが、このケラチンの合成なのです。

換羽の影響

羽が生え換わることを「換羽(かんう・とや)」といいます。

古い羽は小羽枝が擦れて壊れてしまっており、これをリフレッシュすることで、羽の強度や撥水性を回復させる効果があります。

換羽には大量のエネルギーと栄養を必要とします。

換羽期は羽毛の発育にともなう血管供給が活発になるため、基礎代謝率が30%増加し、通常の2倍のタンパク質を摂取する必要があります。

特に硫黄化アミノ酸の摂取が、羽毛の状態を維持するために重要であると言われています。

換羽期の文鳥さんの様子

また、性ホルモンと甲状腺ホルモンも換羽に影響し、生殖器疾患や甲状腺機能低下症に罹患すると、羽毛の異常や不規則な換羽が起きる可能性があります。

換羽期は身体への負担が増加しており、免疫が低下したり、基礎疾患が起きやすくなったりします。

機能

正羽は飛翔のコントロールや防水など、様々な機能を持っています。

飛翔

翼に生えている正羽で空気を捉え、コントロールすることによって飛翔します。

翼の先の方に生えている初列風切羽は前に進む力である推進力を担い、翼の身体側に生えている次列風切羽は上昇する力である揚力を担っています。

次列風切羽をクリップすると揚力が低下し、落下しやすくなるので危険です。

尾羽は飛ぶ方向のコントロールに使用されるほか、ホバリングの際に開いて揚力を作ります。

小羽枝のフックがしっかりと絡まった状態の正羽は軽くて丈夫であり、飛ぶために非常に有利な特徴を持っています。

着地

着地の際には翼に角度をつけて羽ばたくとともに、尾羽を開いてパラシュートのように使用し、落下速度を低下させます。

文鳥の飛翔、着地の様子はこちらの動画を見ると分かりやすいでしょう。

防水

小羽枝がフックでしっかりと絡まり合っていれば、正羽は物理的な障壁として機能し、尾腺から分泌される皮脂を塗っていない状態でも防水性を発揮します。

防水性を発揮し過ぎている文鳥さんの様子

防御

雨、風、日差し、ホコリ、ケガなどから身体を守るのも、正羽の重要な機能です。

特に文鳥は性格がきつめな子が多く、複数羽を一緒に飼うと喧嘩が絶えないため、強靭な正羽による防御は重要です。

不意に足を攻撃されて正羽で防御できなかった文鳥さんの様子

病気やケガ

「羽毛に関連する病気やケガ」(近日公開予定)を参照してください。

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