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文鳥の目

やさしい眼差しのメル先生
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トップ画像:学生に優しく微笑むメル先生(@takebuntomo)

大きくてクリクリの文鳥の目ですが、ただ可愛いだけではありません。

人間を上回る優れた色彩感覚や動態視力、防水能力まで備えているのです。

文鳥の目の魅力と謎に迫ります。

人間は環境からの情報の8割を目で取り入れていると言われています。

文鳥を含め、多くの鳥は人間と同様に目を使って周囲の情報を取り入れています。

犬や猫が匂いや音で「世界を見ている」のに対して、「目で世界を見ている」文鳥は、人間に近い感覚的な印象を持っていると言えます。

鳥の目は人間に近いというだけでなく、飛んで高速移動しながら対象を認識できるように高度に発達しており、身体の大きさに比べて目が非常に大きくなっています。

また、夜目が利かないことをよく「鳥目」などと言います。

確かに、文鳥は昼行性の鳥なので、暗いところでの視力を司る杆体細胞が特別発達しているわけではありません。

それでも、一般に鳥の方が人間よりも夜目が利きます。なので、おやすみカバーを掛けた後でも周囲の様子はそれなりに見えているのです。

文鳥の深遠な知性と無限の好奇心を宿している大きく美しい目は、文鳥と人との共存が始まって以来、多くの飼い主を魅了し続けてきました。

優れた色彩感覚

色の識別には、網膜にある錐体細胞(すいたいさいぼう)を何種類持っているかが重要です。

犬や猫などの多くの哺乳類は2色型色覚で、2種類の錐体細胞しかありません。

目が発達している人間は3色型色覚です。

そして、さらに目が発達している文鳥は4色型色覚を有し、4種類の錐体細胞を持っています。

このため、人間よりも明確に色彩を区別することができます。

文鳥が鮮やかな色や特定の柄に対してビックリしたり警戒したりするのは、優れた色彩感覚によって人間以上に色がビビットに感じられるというのも、1つの要因であると言えます。

優れた動態視力

文鳥を含め、鳥の目は焦点を調節する能力が発達しています。

遠くを見ている状態からでも、瞬時に目の前のものにピントを合わせることができ、自分が高速で飛んでいても、遠近を問わず周囲の状況に変化があれば的確に対応することができます。

広い視野

文鳥の目は大きく、さらに頭の両側についているため、真後ろ以外はすべての範囲が見えているほど広い視野を有しています。

この広い視野と、前述の優れた動態視力のおかげで「遠くの猛禽類を警戒しつつ、いきなり横から出てきた障害物を避ける」というような、高度な動作をすることができます。

文鳥は広い視野を持っていますが、何かに注目したいときは頭を動かして対象にまっすぐ目を向けて見つめます。

このとき、背伸びするような動作を伴うことも多く、何かに興味をもった文鳥の典型的な姿勢であると言えます。

飼い主の手を独占する謎の相手に気が気でない文鳥ズの様子

水中ゴーグル付き

文鳥の目の上下には人間と同じ様にまぶたがあります。

しかし、目を閉じる際には下のまぶたが大きく動く点は人間と異なります。

眠気にあらがう文鳥さんの様子

また、文鳥の目には「瞬膜(しゅんまく)」という第三のまぶたが存在します。

瞬膜は半透明のまぶたなので、瞬膜を閉じている時も外の様子を見ることができます。

このため、水浴びをする際には瞬膜を閉じ、外の様子を観察しつつ目を保護しています。

目は呼吸器とつながっている

文鳥は呼吸器も非常に発達しています。

ミステリアスなメル先生

呼吸器にも造詣が深いメル先生(@takebuntomo)

飛ぶことは走ったりジャンプしたりするよりも大変であり、効率的に呼吸を行い、酸素を体中に行き渡らせるために、体の中の様々な箇所に呼吸のための器官があります。

こうした事情もあり、文鳥は目と呼吸器がつながっています。

文鳥でも目を保護するための涙液、つまり涙が分泌されています。目のゴミや老廃物は涙によって目頭のあたり(内眼角)に動かされ、鼻涙管という器官を経由して、後鼻孔に排出されます。

後鼻孔は、口の内側にあるスリットのことで、鼻の穴から取り込んだ空気を吸い込むのに使われます。

このように、目と呼吸器がつながり、さらに消化器にもつながっているため、どこかが炎症を起こすと連鎖的に広がっていってしまう場合があり、注意が必要です。

アイリング

文鳥といえば、目の周りを囲っているアイリングが特徴的です。

アイリングは囲眼輪とも言い、羽毛に覆われておらず、皮膚が露出している数少ない箇所のひとつです。

健康な時はピンク~赤色をしています。

クチバシと同様、体調が悪くなると白っぽくなったり、青みがかってきたりするため、よくチェックしてあげてください。

古来より、アイリングの色は文鳥の雌雄を判別するための手がかりとして使われてきました。紅が濃いのがオスで、薄いのがメスだとされていますが、個体差が大きく、精度が高いとはいえません。

また、ヒナのアイリングは健康でも白っぽいため、雌雄の判別はさらに難しいといえます。

また、文鳥同士がケンカするときは相手のアイリングを狙うとしている文献もあります。噛まれたアイリングは潰れて白くなってしまうため、キレイな赤いアイリングは強いオスの証であるというわけです。

目の様子がおかしい?

涙目になっている、目の周囲の羽毛が汚れていたり固まっている、まぶたが赤く腫れているなど、目の様子がおかしい場合は何らかの病気の症状の可能性があります。

単にゴミが入っただけであれば、しばらくすれば取れる場合がほとんどです。

ゴミでは無い場合、結膜炎や角膜炎など、目に炎症が起きている可能性があります。

鳥類の結膜炎は、単独で発症することはあまり無く、多くは鼻炎や副鼻腔炎といった、呼吸器系に生じた病状から続発しています。

時に、口内炎から副鼻腔炎になり、さらに結膜炎を起こすという様に、連鎖的に続発することもあるようです。

目の様子がおかしいと感じたら、呼吸や口の中に異常が無いか確認しましょう。

また、目や呼吸器で病気が起きるのは、ビタミンAの不足による粘膜の損傷が原因になっている場合が多いです。餌の栄養バランスに問題がないか、改めてチェックしましょう。

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