文鳥と疥癬症
トップ画像:ダニがつけ入るスキのないぽん先生(@comatsu_cotoLi)
疥癬症はセキセイインコで有名ですが、文鳥でも起こる病気です。
トリヒゼンダニというダニが文鳥の皮膚に寄生し、穴を掘って産卵・脱皮・増殖することで皮膚病変を生じます。
早期に駆虫剤の処方を受けることができれば良いのですが、時間が経ってからだと症状も重篤化し、駆虫にも時間が掛かるようになるため、見つけ次第病院を受診するようにしましょう。
疥癬症の原因
トリヒゼンダニが寄生することによって疥癬症は起こります。
トリヒゼンダニは鳥の皮膚に穴を空けて生活しています。交尾を行ったメスのトリヒゼンダニは受精後すぐに穴を掘り、皮膚に潜り込んで産卵します。孵化した幼ダニは皮膚の表面で脱皮を繰り返し、成長していきます。
トリヒゼンダニによって空けられた穴の刺激や、トリヒゼンダニが出す老廃物や脱皮物などが原因となって皮膚に様々な症状を起こすと考えられています。
疥癬症の症状
トリヒゼンダニは、文鳥の身体の羽毛が生えていない場所ならどこにでも寄生します。主にクチバシ、まれに脚や総排泄孔周辺に寄生します。お腹の無羽域に感染することもあります。
トリヒゼンダニに寄生されても、文鳥が健康で体力があり免疫力が正常である場合には、症状が現れないことがあります。生涯にわたって一度も発症しない文鳥もいるでしょう。この場合、ダニのキャリアーとなって、同居鳥やヒナへの感染源になります。
トリヒゼンダニに寄生されている文鳥の体力や免疫力が低下するとダニの増殖が始まり、疥癬症の症状が現れます。
典型的にはクチバシの上部、鼻孔のあたりの部分に「白くカサカサしている」「軽石のような」「カビのような」「白いフケのような」などと表現される独特の皮膚病変が形成されます。これを「結節」といいます。脚に発症した場合、独特のハバキとなって現れます。
文鳥は非常にかゆがり、止まり木やケージに異様にこすりつけたり、かゆみからソワソワと落ち着きがなくなったりします。症状が進行すると結節が大きくなり、かゆみも強くなっていきます。出血や皮膚炎を伴うこともあるでしょう。
重度になると爪の異常形成や脱落、全身に皮膚が冒されることによる衰弱死などに至ることがあります。
トリヒゼンダニを駆虫するには駆虫剤を経口投与する必要があり、家庭で取り除くことは困難です。一度症状が現れても改善することがありますが、ダニが居なくなったわけでは無いので、何かのきっかけで再び発症したり、同居鳥やヒナへと感染が拡大していきます。
なお、鳥の疥癬症が人へ感染したという報告は確認されていません。
疥癬症の予防
トリヒゼンダニは、宿主である鳥の身体を離れては短時間しか生存できないと考えられており、鳥同士の接触によって感染します。最も典型的な感染経路は、親鳥からヒナへの感染で、ヒナは羽毛が生え揃っていないために寄生されやすくなっています。
したがって、新しく迎えた文鳥は同居鳥から隔離し、検査を受けることが大切です。
ただ、検査でも発見できない場合があります。トリヒゼンダニに寄生されてから発症までに時間が空くことも、感染拡大に好都合になっています。
飼育している鳥の中に疥癬症を起こした子が出た場合は、症状が出ていない子も病院を受診するようにしましょう。
疥癬症の発症を予防するためには、栄養バランスの良い食餌と衛生的な環境によって、皮膚の免疫力を健康に保つことが重要です。
栄養面では、特にビタミンAを十分に与えることが重要です。シード食の文鳥では、青菜やサプリメントを与えるようにしてください。
参考:文鳥とビタミンA欠乏症
不衛生な飼育環境は皮膚の免疫力を弱めるため、清潔に保つようにしましょう。なお、トリヒゼンダニは鳥の皮膚で生活し、別の鳥の皮膚へと直接移動します。したがって、飼育環境を衛生的にしてもダニを直接駆除できるわけではありません。あくまで、駆虫剤による駆除が必要となります。
参考文献
書籍
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