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文鳥とアスファルトの危険性

苦しむ演技を見せるぽん先生
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トップ画像:苦しむ演技を見せるぽん先生(@comatsu_cotoLi)

道路の工事現場を見かけた際、独特のアスファルトの匂いをかいだことがある人は多いでしょう。

実は、アスファルトからはフュームと呼ばれる有害物質が飛散しており、道路工事は大気汚染を起こします。

人間は平気でも、体の小さな文鳥は深刻な中毒を起こす危険性がありますから、飼い主はアスファルトの危険性についてしっかり認識しておきましょう。

アスファルトからは「フューム(fume)」が発生しています。フュームとはガス状の燃焼生成物が凝縮した固体粒子のことで、アスファルトフュームは白い煙のように見えます。このフュームによる大気汚染が原因となって、鳥はもちろん、体の大きな人間にさえ健康被害を生じさせます。

アスファルトフュームには硫化水素や一酸化炭素、種々の脂肪族炭化水素が含有されており、これらが粘膜を刺激し、あるいは酸素と結合して呼吸困難を起こします。

道路工事などで加熱されたアスファルトからは多くのフュームが発生して中毒の危険が高まります。ただ、冷たい状態のアスファルトからもフュームは生じており、密閉されたタンク内にはフュームが充満してしまうため、取り扱う人は特に注意が必要であるとされています。

アスファルトとコンクリートの違い

「アスファルト」と「コンクリート」という言葉自体は有名でも、それぞれの違いまで知る機会は多くありません。ここで確認しておきましょう。

アスファルトは主に道路の舗装に使用される舗装材のひとつです。道路や歩道で目にする黒いものがアスファルトです。ビルやマンションの屋上部分で防水シートの代わりに使用されることもあります。

アスファルトは原油を精製して作られています。原油からガソリン、灯油、軽油などの価値の高いものを分離し、残留物がアスファルトや重油などになります。

アスファルトはそれ単体で使用することはなく、砂利、砂と混ぜ合わせて使用します。この混合の際に温度が重要になります。工場から作られるときは160℃程度になるまで加熱します。この程度まで高温にしないと取り扱うことができません。アスファルト舗装を施工したあとは約50℃になるまで養生をし、温度が下がりきった段階で道路が開放されます。

高温を維持する必要があることに加え、フュームによる健康被害の危険があるという取り扱いの難しさから、一般の家庭におけるDIY(日曜大工)としての庭の舗装などにアスファルトが使われることは滅多にありません。一方で、コンクリートに比べて耐久性は劣るものの安価で施工が早いというメリットがあるので、道路では主にアスファルトが使用されています。

主に道路舗装に使われるアスファルトに対して、コンクリートは様々な場所で使用されています。住宅の基礎や壁、高層ビル、ダム、橋など、活躍の場面は多様です。もちろん、道路の舗装に使われる場合もあります(コンクリート舗装)。

コンクリートはセメント・水・砂利・砂を専用のミキサーで混ぜて作られたものです。混ぜられた直後はやわらかい状態で、型枠に流し込まれて使用されます。そして、時間が経つにつれて徐々に固くなっていきます。型枠の形を変えれば自由な形状のコンクリート構造物を作ることができます。

なお、「セメント」は石灰石と粘土を混ぜて焼いたものにせっこうを加えたものです。

セメントは取り扱いが容易であり、一般家庭でも用いられる場合があります。フュームの問題は特に警戒されておらず、アスファルトに比べれば健康被害の危険性は低いと言えるでしょう。

しかしながら、道路工事にせよ一般家庭のDIYにせよ、セメントを使用するような場面では他にも様々な薬品や建材が使用されます。セメント自体は比較的安全でも、塗料や溶剤の揮発成分が原因となって大気汚染が生じる可能性もありますので、やはり注意する必要があります。

アスファルトフューム吸入の症状

アスファルトフュームを吸入すると、主に呼吸器症状を起こします。くしゃみ、咳、呼吸音などの異常が見られ、時に呼吸困難を起こします。

また、目の粘膜を損傷して結膜炎を起こすこともあるでしょう。

フュームに含有されている硫化水素は特に毒性が強く、呼吸停止を招く恐れがあります。

アスファルトフューム吸入の予防

鳥類は飛翔という爆発的運動を可能にするために呼吸器が非常に発達しています。特に文鳥は体重も軽いため、有毒物質による大気汚染にはとても敏感です。

したがって、微量のアスファルトフュームの吸入でも中毒症状を起こす危険性があります。

家の目の前で道路工事が始まった場合や、近隣のマンションやビルの屋根にアスファルト舗装が行われる場合などには、文鳥をバードホテルやかかりつけ医のもとに避難させるのが最も安全です。アスファルト独特の匂いがしたら、既にフュームが飛散している証拠ですから、避難を急ぐべきでしょう。

避難する期間について、ある海外の獣医は「4日から10日ほど避難すると良いだろう」との見解を示しています。

近隣にバードホテルや鳥を預かってくれる病院が無く、頼れる親類や友人も居ない場合は、自宅で警戒するしかないかもしれません。しかしながら、確実にフュームを遮断する方法は存在しないことは、あらかじめ覚悟しておく必要があります。

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