文鳥の足
トップ画像:黒板に足の図を描こうとしているむぎ先生(@mugimugi_bun)
文鳥の足はピンク色をしていて可愛らしく、「あんよ」などと呼ばれて飼い主たちに親しまれています。
しかし、文鳥の足は可愛いだけではありません。
実は非常に優れた体温調節機能の一翼を担っているのです。
今回は文鳥の足の知られざる秘密を、みなさんと一緒に学んでいきたいと思います。
つま先立ちしている
文鳥の足は、人間とは逆向きに膝が曲がっているように見えます。
しかし、多くの飼い主が膝だと思っている部分は、実は人間でいう足首にあたります。
そして、多くの飼い主が足首だと思っている部分は、人間のつま先に相当します。
つまり、ずっとつま先立ちしている状態なのです。
足を伸ばすと「ももひき」と呼ばれている羽毛が見えることがありますが、ももひきが生えているのはスネの部分です。
本当の太ももの部分は羽毛に隠れていて見えません。
文鳥を握って、足を根元にさかのぼっていくと、身体の真横あたりに太ももがあることがわかるでしょう。
前に3本、後ろに1本の指
スズメ目である文鳥の指は、前に3本・後ろに1本の計4本です(三前趾足)。枝をしっかりキャッチするのに適した構造です。
セキセイインコなどのオウム目の鳥は前に2本・後ろに2本になっています(対趾足)。物を掴んで操るのに向いています。
文鳥はセキセイインコほど握力が強くありません。ケージの側面に張り付くことはできても、よじ登ったり、天井にぶら下がったりすることはできません。
したがって、同じケージでもセキセイインコは天井までの高さを有効に活用できる一方、文鳥は基本的には止まり木やブランコの高さまでしか使えません。
鳥は、何かにビックリしたり、初めて見る人を警戒しているとき、相手との距離を取ろうとします。十分な距離が取れないとパニックを起こす子も居ます。
高さを上手く使えない文鳥にとって、ケージの奥行きや幅がセキセイインコ以上に重要なのです。
ぴょんぴょん跳ねて移動
文鳥はホッピング、すなわちピョンピョン跳ねて歩きます。
ホッピングする文鳥さんのスロー映像
鳥の骨は折れやすいので、ホッピングや飛び立つ際に爪がじゅうたんやセーターなどに引っ掛かると簡単に折れてしまいます。注意してあげてください。
参考:文鳥の爪
ちなみに、いつもホッピングしている文鳥ですが、実は普通に歩くこともできます。
普通に歩く文鳥さんのスロー映像
足は天然のラジエーター
足は羽毛が生えておらず、文鳥の体温調節に重要な役割を果たしています。
文鳥の足の血管は、動脈と静脈が非常に近くを通っています。このため、身体の中の熱を持って流れてくる動脈血と、露出している足で冷却された静脈血との間で熱交換が行われるのです。
この仕組みは「対向流熱交換」として知られています。人間の手足でも同じ原理が働いていますが、文鳥ほど動脈・静脈が隣接していないので、あまり効率が良くないようです。
暑い時は血管が拡大して血流が増加し、足に送られる血の量が増えて効率的に熱を排出します。反対に寒い時は足を羽毛に隠すと同時に、血管が収縮して足に送る血流を減らすことで、熱が逃げないようにしています。
昔から文鳥飼い主の間では「文鳥はリラックスしたり眠くなると足が暖かくなる」ということが知られています。
人間では、眠る時に手足から放熱することで体温が下がりますが、鳥も寝る時に体温が下がります。
したがって、文鳥も人間と同じように、リラックスして眠くなると足から放熱が始まるために、足が暖かくなるのかもしれません。
ちなみに、冷え性の人間は手足からの放熱が上手くいかないせいで体温をなかなか下げることができず、眠るのに時間が掛かったり、眠りが浅くなったりするそうです。大変ですね。
足の健康に大切な飼育環境
文鳥の足を健康に保つには、止まり木の太さが重要です。
止まり木が太すぎると、しっかり掴むことができず、身体を安定させることができません。
止まり木が細すぎると、指がぐるっと一周して爪が刺さって危険です。また、眠る時に身体を止まり木に乗せて、いわゆる「モチ」の状態になった時に、指全体を羽毛で覆うことができず、身体を冷やしてしまう原因になります。
最適な止まり木の太さは、捕まった時に円周の3分の1が余るくらいです。
文鳥の身体の大きさによって変わるのですが、具体的には直径12mmぐらいのものを用意しておくと良いでしょう。
最適な太さの止まり木を用意できたら、それをキレイな状態に保つように心がけましょう。
フンがついているのに放置されたりして、止まり木に雑菌が繁殖すると、足やクチバシ、目などに感染症を発症する原因になります。
足の様子がおかしい?
足は羽毛に隠れていないため、文鳥の健康状態が良く現れます。
足の色や質感を毎日観察して、何か異変があった時にすぐ見つけられるようにしましょう。
足に起こる異変として、有名なのは「はばき」です。
文鳥の足は脚鱗(きゃくりん)というウロコ状の皮膚に覆われています。足に古い角質が溜まって、脚鱗が白っぽくなったり、カサカサしたり、ポロポロ剥がれたりするのがはばきです。
はばき自体は病気ではなく、代謝が衰えてきた老鳥によく見られるものです。はばきが起きても、文鳥は自分のクチバシで手入れするので、人間が手を加える必要はありません。
しかし、時に病気の症状としてはばきが起きることがあり、注意を要します。
はばきを起こす病気ですが、専門書ではビタミンA欠乏症が挙げられることが多い一方で、Web上の情報では甲状腺機能低下症が挙げられることが多いです。
下記のリンクを参考にしてください。
参考:文鳥とビタミンA欠乏症 , 文鳥と甲状腺腫
参考文献
書籍
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