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文鳥の歌声 構造と周波数

力いっぱいさえずるおはぎ先生
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トップ画像:全力で歌いあげるおはぎ先生(@oh._.happy)

文鳥の歌声を聴いたことはありますか?

女の子で歌をうたうことのできる子は珍しく、歌をうたうのは主に男の子の文鳥です。

文鳥が歌をうたう理由は、縄張りのアピールや、女の子へのアプローチのためだと考えられています。

文鳥が歌う「愛のうた」を聴くのを楽しみにされている方も多いのではないでしょうか?

今回の講義で扱う「歌」は、「チッ」「ピッ」といった「20分の1秒」程度の短い「地鳴き(じなき)」ではなく、数秒間程度の長さを持った「歌」「さえずり」です。

愛らしい文鳥の歌について、構造や周波数の観点から切り取ってみましょう!

世界中には、約9,000種の鳥がいます。歌をうたう鳥は分類学的には「スズメ目」に属していて、約4,000種の鳥がいます。

スズメ目の中でも、5分の4を占める「スズメ亜目」は「鳴禽(めいきん)」と呼ばれ、さえずる鳥が多いことで知られています。

歌声の美しさといえば、まずイメージするのはカナリアでしょうか?じつは文鳥もカナリアと同じく「鳴禽」に分類される、美しい歌声を持っています。

歌の構造

文鳥の歌は、歌の中にある「間(ま)」を区切りとして「ノート」<「シラブル(句)」<「フレーズ(節)」に分解することができます。

歌の構造の中での最小単位を「ノート」と言います。「ノート」が集まってひとかたまりになったものを「シラブル(句)」といい、さらにいくつかの「シラブル(句)」が集まったものを「フレーズ(節)」と呼びます。

文鳥の歌の節には、「同じ句を何回か繰り返したもの」や「違った句をミックスしたもの」「ひとつの句がそのまま節になったもの」などのパターンが見られます。

参照:小鳥はなぜ歌うのか /岩波書店/小西正一に掲載されていたソナグラフ(小鳥の歌を計測し、描き起こしたもの)を文鳥大学にて模写。
※文鳥とは別種の小鳥のソナグラフを模写しています。歌の構造をイメージするためのご参考にどうぞ。

フレーズどうしの隙間には少しの「間(ま)」があります。句どうしの隙間にはさらに小さな「間」があり、「ノート」どうしの隙間にはさらにさらに小さな「間」があります。

「間」つまり「音の空白」の長さやリズムは鳥の種類(個体のちがいではなく、文鳥、キンカチョウ、カナリア、というような意味での「種類」)によって違っていて、鳥たちが自分と同じ種類の鳥を識別するために役立っています。

歌の聴きどころ

大事なのは音の高さの変化

文鳥は、適当に歌をうたっているわけではありません。ちゃんと文鳥の歌にも「聴きどころ」があります。

文鳥が歌をうたうとき・聴くときには、ノートや句のなかの「音の高さの変化」が重要です。

音の高さに変化がない歌だと、聞き手の女の子が全然反応してくれません。ちなみに、音の高さに変化があれば、「人工の歌」でも女の子は反応を返してくれるという研究もあります。

意外に思われるかもしれませんが、「音の強さの強弱」はあまり気にしません。大きい音か小さい音かは、歌のポイントではないということです。

その理由として、音の強弱は、環境(周りの障害物・お互いの距離など)によって変化するものですから、歌の魅力を測る上では重視されないのではないかと考えられています。

文鳥の歌独特の「クリック音」

文鳥は歌をうたう時、歌声の合間に「グッ」「クッ」という「クリック音」と呼ばれる音を出します。

文鳥の歌声は「鳴管」という発声器官の振動によるものなのですが、この「クリック音」は鳴管の振動によって発せられるものではありません。

クリック音は、歌声とは別の要素です。ヒトで言えば歌っている合間に手で拍子を取るような感覚の音であり、鳴管から発せられるフレーズのメロディとフレーズに応じたクリック音とを組み合わせることで、文鳥の歌が形成されます。

歌をうたう鳴禽は数多く存在すれども、歌をうたう時にクリック音のような「歌声以外の音」を出して拍子を取る鳥、というのは珍しいとされています。

歌の一番最初にクリック音をたくさん出す子が多いです。文鳥の歌を聴くときには、ぜひクリック音にも注目してみてくださいね。

いろいろ歌える男はモテる?

ここまで、文鳥の歌の聴きどころや特徴について見てきました。

ところで、そもそも文鳥の歌には「女の子へのアピール」だけでなく「縄張りアピールの役割」もあります。

歌うことのできるフレーズの種類が多ければ、よその縄張りにいる雄に対して「こっちの縄張りにはたくさんの雄がいるぞ!その証拠に、違った歌がたくさん聞こえるだろ!」と思わせることができます。

縄張りを守れる男とは、強い男であるということ。ゆえに、たくさんの種類の歌をうたえる男子はモテるようです。

文鳥男子諸君、いろんなおうたを練習してみよう。

画像:生徒がちゃんとお歌を聴いているか確認するおはぎ先生

歌声の周波数

聴こえる音の範囲

音の正体が空気の振動であるという話を学校で習ったことを覚えていますでしょうか?

音は空気が振動することで発生します。音には「強さ」「高さ」「音色」の3つの要素があり、「高さ」は振動の速さ(1秒間に何回振動するか)で決まります。この振動数を「周波数」といい、一般的に「Hz(ヘルツ)」という単位で表現されます。 数値が小さい(振動がゆっくり)と低い音、数値が大きい(振動が速い)と高い音になります。人の耳で聴くことができるのは、一般的には 20Hz~200,000Hz(20kHz)と言われています。

文鳥を含め、小鳥に聴こえる「音の周波数の範囲」は、ヒトとは異なります。ヒトは約20キロヘルツまでの音が聴こえますが、小鳥には10キロヘルツくらいの音までしか聴こえません。

小鳥の方がヒトの声よりも高音を出していることが多いので、「鳥の方がヒトよりも高音域まで聴こえているんだろう」とイメージしがちですが、実際は異なるのです。

とはいえ、実際に10キロヘルツの音を聴いてみると、「10キロヘルツくらいの音までしか」と言えども耳がキーンとしそうな高音であることがわかります。

動画:10kHz

ヒトの聴力は年齢とともに低下していくため、年代によって聴こえる音の限界範囲は異なります。先程の、「ヒトは20キロヘルツまで、小鳥には10キロヘルツまで」という話は、あくまで「ヒトの最盛時(20代)に聴こえる音の範囲と比較すると、小鳥には聴こえない高音領域がある」ということに過ぎません。したがって、全年齢のヒトと小鳥とを比べれば、だいたい似たような範囲の音を聴いていると考えても良いでしょう。

ちなみに、小鳥が聴くことのできる音の中で最も高い音が約10キロヘルツですが、小鳥の耳がいちばん良く反応する周波数は、2〜5キロヘルツくらいと言われています。

また、低音域については小鳥もヒトと同様のレベルまで聴こえています。小鳥の歌に500ヘルツ以下の低音は含まれていないため、低音域を聴き取る能力は外敵の立てる物音を感知するために受け継がれてきたのだと考えられています。

感知に優れた聴力

ここまでの話から「文鳥はヒトよりも耳が悪いの?」と思われるかもしれません。しかし、一概に文鳥の耳が悪いとは言えません。

小鳥には、ヒトには聴こえないほど「早い音の変化」を聴き取ることができるのです。

小鳥の歌には、音の強さや周波数がヒトではわからないほど速く変わる箇所があります。テンポが速く複雑な歌をうたうことができるのは、小鳥の「感知に優れた聴力」のおかげなのです。

小鳥の反射神経が抜群で、身体の反射速度がヒトでは追いつけないほどに速いのも、「感知に優れた聴力」の役割によるところが大きいでしょう。

まとめ

文鳥の男の子は、縄張りの主張や女の子へのアピールを目的として、歌をうたいます。

文鳥の歌をノート・句・節からなる構造へと分解し、文鳥にとっての歌の「聴きどころ」を解説しました。

歌声中の音の高さの変化や、「クッ」「グッ」という独特のクリック音が、文鳥の歌の聴きどころなのでした。

そして、より多くのフレーズを歌うことができる男子は「この縄張り内にはたくさんの雄がいる」と外敵に錯覚させることができるため、強い個体とみなされて女の子からモテる傾向にあります。

また、小鳥とヒトとでは、聴こえる音の周波数の範囲が異なっていて、音の聴こえ方も違うことがわかりました。文鳥はヒトと比べて、高音の聴こえる範囲が狭いですが、より素早い音の変化を感知することができます。

本記事が、文鳥にはどんな風に音が聴こえているのか、ヒトである皆さんに想像していただく一助となれば幸いです。

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