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綿羽-ふわふわの断熱素材

わたあめになるぽん先生
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トップ画像:綿羽の球体になったぽん先生(@comatsu_cotoLi

綿羽(めんう)は全身に生えているふわふわの羽です。

柔らかいので飛ぶためには使えませんが、優れた断熱性を発揮し、体温調節に使用されます。

構造の概要

綿羽には正羽(せいう)のような羽軸(うじく)がほとんどなく、綿毛状の小羽枝(しょううし)があるのみです。

その小羽枝も、正羽のようにフック付きのもの(有鈎小羽枝)ではないため、しっかり絡み合うこともなく、ふわふわしています。

ヒナの身体の表面を覆っているのが綿羽です。

綿羽も生えたばかりの文鳥のヒナたち

成鳥になると、綿羽は正羽の下に生えます。

綿羽を含め、羽毛は羽包(うほう)から生えています。羽包には筋肉がついているため、寒いときや怒ったときに毛を逆立てることができるのです。

なお、羽包の筋肉は不随意筋です。つまり、寒い時や体調が悪い時は本人の意思に関係なく毛が逆立ちます。人間がトリハダになるのと同じですね。

無羽域

綿羽は全身を「覆って」いますが、全身から「生えている」わけではありません。

羽毛が生える領域を羽域(ういき)といい、羽毛がほとんど生えない領域を無羽域(むういき)と言います。

無羽域は脇の下や頸部の背中側、お腹などにあります。

抱卵の際には無羽域であるお腹の下に卵を抱え、自分の体温を効果的に卵に伝えています。

また、お腹周辺の綿羽を避ければ直接皮膚を観察できることから、健康診断に利用されています。

発生

新しい羽毛は羽鞘(うしょう)というサヤに包まれて皮膚から生えてくるので、筒状になっています。

先端だけが開いており、根本に向かってサヤに包まれている様子から、筆毛(ふでげ)・ピンフェザー(Pin feather)と呼ばれます。

筆毛がツンツンしている文鳥さんの様子

サヤはクチバシで除去され、中の羽枝が乾いて開くと、1枚の羽になります。

筆毛には血管が通っており、血液を供給されつつ成長していきます。

したがって、筆毛が傷つくと大出血を起こします。筆毛は硬いサヤに囲まれているために傷口を閉じることができず、血が止まりにくいという特徴もあります。

羽毛が完全に成長すると血液供給が止まり、羽軸内は空洞になります。

更に詳しくは下記のページの「発生」の項目をご覧ください。

機能

綿羽は主に体温調節に役立っています。

英語のDown Featherという名称からも分かる通り、非常に断熱性に優れているため、人間もダウンジャケットの断熱素材として水鳥の綿羽を使用してきました。

暑い時

暑いときには、頑丈な正羽を使って柔らかい綿羽を押し縮めます。

綿羽が押し縮められることで空気による断熱層が薄くなり、熱を逃がしやすくなります

そのほか、口を開くことで放熱を促進します。

文鳥に限らず、鳥が呼吸に使っている気嚢(きのう)は複数個あり、内臓に接しています

したがって、内臓の熱を吸収した空気を吐き出すことにより、効率的に熱を逃がすことができます。

日本の夏の暑さを知る文鳥たちの様子

寒い時

寒いときには立羽筋(りつうきん)を使って正羽を立て、綿羽を膨らませることで空気の層を厚くし、保温性を高めます

綿羽は不随意筋によって支配されており、意志に関係なく膨らみます。

冬の屋外でもたくましく生きる文鳥たちの様子

綿羽を膨らませることを膨羽(ぼうう)といいます。

膨羽は寒い時以外、例えば体調が悪いときにも起こるため、注意が必要です

病気やケガ

「羽毛に関連する病気やケガ」(近日公開予定)を参照してください。

参考文献

書籍

Web

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