文鳥と肝性脳症
トップ画像:水浴びも運動だと説明するぽん先生(@comatsu_cotoLi)
肥満の文鳥は脂肪肝を起こして、肝臓の機能が弱くなります。
肝臓が弱まるとアンモニアなどの毒素を充分に無毒化できなくなってしまい、毒素が脳に達して障害を起こすことがあり、肝性脳症と呼ばれます。
肝性脳症を起こしていても元気に見えることがあり、ある日突然死んでしまうといったことも起こります。
肥満の予防は肝性脳症の予防にもつながりますから、太り気味の文鳥さんは真剣にダイエットしましょう。
脂肪肝を代表として、何らかの原因で肝障害が起きると、肝臓の解毒機能の低下が生じます。
肝臓では様々な毒素を無毒化しており、代表的な毒素はアンモニアです。
鳥が摂取したタンパク質は消化されてアミノ酸になり、肝臓へと運ばれます。
肝臓はアミノ酸をエネルギーとして利用しやすいように変換する「代謝」を行います。このアミノ酸代謝の際に、生体にとって猛毒なアンモニアが生じてしまいます。
アンモニアはそのままでは危険ですが、肝臓で害の少ない尿酸に変換され、フンとして安全に排泄されます。
肝障害によって肝臓がアンモニアを充分に無毒化できなくなると、血中のアンモニア濃度が上昇します。
この高アンモニア血症が脳障害を引き起こすと、肝性脳症と呼ばれる状態になります。
肝性脳症の症状
軽度であれば元気なように見えるか、傾眠、食欲不振、膨羽などの一般的な症状を示すにとどまります。
進行すると嘔吐、多飲多尿、嗜眠、食欲廃絶、精神障害などが現れるようになります。
そして重度になると、運動障害、麻痺、昏睡、痙攣を起こし、死亡します。
ただし、重度の高アンモニア血症を起こしていても元気に見えることがあり、突然死の形で症状が現れる場合もあります。
肝性脳症の予防
肝性脳症は肝障害によって肝臓の解毒機能が弱められることで起こるため、様々な肝臓の疾病が原因になり得ます。
しかし、最も典型的なのは脂肪肝です。
文鳥を肥満にさせないためには、食餌の栄養バランスを管理するとともに、十分な運動量を確保しましょう。
食餌では、混合シードの中のカナリーシードばかりを偏って食べていて、高脂肪な食餌になってしまっているかもしれません。1日で食べ切れる量のエサを与え、全ての種類のシードをバランス良く食べなければいけないようにします。あるいは、ペレット食への移行を検討しましょう。
手乗り文鳥は放鳥してもあまり運動せず、飼い主の手や肩に乗っているだけのことが多々あります。したがって、意図して運動量を増やすようにしましょう。あるいは、十分な大きさを持つケージを使うことで、放鳥時以外の運動量を底上げすることができます。
また、換羽や産卵の時期は各種栄養素の必要量が増大するため、文鳥は過食によって不足分を補おうとします。この過食によって摂取したカロリーを消費しきれないと、肥満になります。したがって、これらの時期には特に注意を要します。食餌の栄養バランスを見直したり、これらの時期用に調整されたペレットを用いると良いでしょう。
参考文献
書籍
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