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文鳥と腎疾患

正面アップぽん先生
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トップ画像:青菜を食べてきたぽん先生(@comatsu_cotoLi

腎疾患はタンパク質やカルシウムの過剰、ビタミンAの欠乏など、様々な栄養の不均衡で生じ、慢性の場合はハッキリした症状が現れにくいため発見が遅れ、突然死の原因になります。

栄養失調のほか感染症や重金属中毒など、腎疾患の原因は多岐に渡ります。

適切な飼育管理で病原体への抵抗力をつけるのはもちろん、腎疾患の原因になる栄養素の取り扱いをしっかり確認して、予防することが重要です。

腎疾患の原因

病原体の感染によって腎疾患が起きることがあります。

排泄腔に感染した細菌が上行してきたり、敗血症から二次的に感染したりします。クラミジア(オウム病)による全身感染から二次的に腎病変が起きることもあります。

このほか、気のうに生じたアスペルギルス症が直接腎臓へと広がったり、稀にコクシジウムなどの寄生虫が腎疾患の原因となる場合もあります。

病原体への感染がなくても、非感染性の腎疾患が起きる場合があります。

腫瘍や腎痛風、重金属中毒などによって腎疾患が生じる可能性があります。

そして、不適切な食餌は慢性の腎疾患を起こすため、注意しなければいけません。

ビタミンAの不足は腎尿細管の過角化などを起こして尿酸の排泄を障害します。カルシウムやビタミンDの過剰により腎の石灰化が生じます。

タンパク質や脂質の過剰摂取は腎臓に負担をかけます。この場合、肥満や脂肪肝を伴うことも多いでしょう。

塩分の過剰摂取も腎疾患の原因になりますが、臨床的に飼い鳥で見かけることは稀なようです。

腎疾患の症状

重金属中毒などを原因とする場合は急性に症状が現れますが、そうでない場合は除々に病状が悪化していき、症状も少しずつしか現れないため、早期発見が困難です。

腎疾患でよく見られるのは多尿や飲水量の増加です。腎機能の障害により尿の水分量の調節が上手くできなくなるため、水分の排泄量が増えます。これによって鳥は脱水状態になりやすくなるため、たくさん水を飲むようになります。

なお、「多尿」は水分尿が多くなるものの、便は棍棒状の形を維持しています。多尿と混同されやすいのが「下痢」で、便自体がドロドロで形を維持できていない状態を指します。

活動量の低下や、体重減少、筋肉量の低下による痩身など、一般症状も見られます。

腎臓が腫脹すると腹部が膨らんで見えるようになります。腎臓の中を通って脚へ分布する神経が圧迫されて脚麻痺が生じることもあるでしょう。跛行や脚を挙げた様子が見られます。

膨張した腎臓が消化器を圧迫し、時に完全に塞いでしまうこともあるでしょう。食欲不振・食欲廃絶・吐出・嘔吐・下痢などの症状を起こします。

また、呼吸器を圧迫することもあり、呼吸困難が観察されます。

腎疾患から内臓痛風を起こし、突然死する場合があります。

腎疾患の予防

適切な飼育管理を行って感染症への抵抗力を高く維持するほか、重金属中毒を避けるために注意を払いましょう。

腎疾患の予防として特筆すべきは食餌の栄養管理です。慢性の腎疾患は早期発見が難しいため、予防の重要性が高くなります。

腎疾患の原因になる栄養素は様々で、タンパク質や脂質、塩分、カルシウム、ビタミンDの過剰摂取は腎疾患を招く可能性があります。

タンパク質や脂質に関しては、シード食の文鳥ではカナリーシードを代表とする脂肪種の混合比率に注意しましょう。市販のフィンチ用混合シードを使っていれば、カナリーシードは少量に抑えられているか、そもそも含まれていないでしょう。自分で混合シードを配合する場合の目安については、文献によってバラツキはあるものの、健康な成鳥でシード全体の5%も混合されていれば充分でしょう。老鳥では筋肉が衰え、代謝率も低くなりますから、若い頃よりも混合率を下げる必要があるかもしれません。

また、換羽期用や繁殖期用のシード・ペレットは高タンパクに調整されていますから、だらだらと与え続けないように注意してください。

塩分に関しては、人間の食べ物を与えなければあまり問題にはなりません。副食としてボレー粉を与えている場合、しっかり水洗いして塩分が落とされたものを購入するか、自分で洗いましょう。また、換羽期・繁殖期の動物性タンパク源として、あるいはおやつとして煮干しやかつおぶしを与えることがありますが、与えすぎは塩分過多になる恐れがあります。

カルシウムやビタミンDの過剰については、ビタミン剤やサプリメントの過剰投与に注意しましょう。ペレット食の文鳥の場合、既にペレットにミネラルやビタミンが含まれていますから、通常はサプリメントを併用する必要はありません。もし欠乏が心配なのであれば、むやみにサプリメントを増量するのではなく、副食を設置したり、日光浴の時間を増やすなど、より自然な方法を取り入れることを検討すると良いでしょう。

上記のほか、ビタミンAの欠乏も腎疾患の原因となります。シード食の文鳥では青菜を欠かさないように注意しましょう。

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