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文鳥と脚気(ビタミンB1欠乏症)

指に掴まるキラキラぽん先生
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トップ画像:しっかり指を掴むぽん先生(@comatsu_cotoLi

脚気の名で知られるビタミンB1欠乏症、あるいはチアミン欠乏症は、文鳥でも起こります。

ビタミンB1は穀類に含まれているため、成鳥では普通起こりませんが、挿し餌で育てられているヒナは要注意です。

不適切な挿し餌によりビタミンB1が欠乏すると神経炎を生じます。脚に麻痺が起き、痛みから食欲不振などの症状が見られるようになります。

症状について知り、早期に発見して挿し餌を改善してあげましょう。

ビタミンB1は炭水化物をエネルギーに変換して利用する糖代謝に必要な栄養素です。

ビタミンB1が欠乏すると神経の糖代謝阻害が起き、多発性神経炎を生じます。これをビタミンB1欠乏症と言います。

神経炎が脚から始まることから、「脚気(かっけ)」と呼ばれ、こちらの名称の方が有名でしょう。

脚気の原因

脚気はビタミンB1の欠乏により生じます。しかし、ビタミンB1は穀類に含有されており、通常は欠乏しません。

注意が必要なのはアワダマの挿し餌で育てられたヒナです。

アワにもビタミンB1は含まれているのですが、アワをムキアワに精白する過程で含有量が半減してしまいます。

さらにムキアワを加工する際の加熱処理でもビタミンB1は破壊され、遮光せずに保存された場合、紫外線による破壊も加わります。したがって、市販されているアワダマは既にビタミンB1の残存量が少なくなっている可能性があります。

また、購入したアワダマを家庭で使う際に、煮てお湯を捨て、ボレー粉や小松菜を混ぜて挿し餌にすることがよく行われています。

この家庭での加熱によってもビタミンB1は破壊され、さらにビタミンB1は水溶性であるためにお湯に溶け出して捨てられてしまいます。この上さらにアルカリ性の強いボレー粉や小松菜と混ぜられ、破壊が進みます。

こうして、ヒナの口に入るまでにアワダマのビタミンB1はほとんど失われてしまっており、欠乏症を起こしてしまうのです。

このほか、挿し餌の水分が多いとヒナが多尿を起こし、水溶性のビタミンB1の流出が進みます。

また、ビタミンB1は炭水化物をエネルギーに変換する際に利用されます。アワダマは低タンパク・低脂肪・高炭水化物なエサであるため、ビタミンB1を過剰消費してしまいます。

さらに、巣立ち期のヒナは運動量が増すためエネルギーの必要量も増大しており、炭水化物の代謝も一気に亢進します。同時にビタミンB1の要求量もはね上がっているため、巣立ち期のヒナには特にビタミンB1が欠乏しやすくなります。

脚気の症状

ビタミンB1の欠乏から神経の糖代謝阻害が起きて多発性神経炎を生じます。神経炎は末梢の屈筋(曲げる時に使う筋肉)から始まり、握力の低下が生じます。文鳥を指に乗せた時に弱々しく掴んでいたり、滑って落ちてしまったりするでしょう。

病状が進行すると、片脚の先端から始まった麻痺が両脚全体に広がっていきます。

感覚神経の麻痺により、脚がうまく動かせなくなります。普段と異なるホッピングの様子が見られるでしょう。また、麻痺あるいは神経炎による痛みから、片脚を浮かせていることもあります。このような症状から、脚をケガしているかのように見えるかもしれません。

さらに進行すると翼のふるえ・下垂を起こし、最終的には中枢神経が障害を受け、弓なりに身体を反らせたり、痙攣を生じたりして、死亡します。

このほか、食欲低下や開口呼吸、呼吸促迫などが見られることがあります。

脚気の予防

挿し餌の栄養バランスや水分量に注意して、ビタミンB1が欠乏しないようにしましょう。

アワダマだけで挿し餌を作るのではなく、パウダーフードを利用したり、サプリメントを添加することでビタミンB1を補いましょう。

挿し餌の水分量が多すぎて多尿を起こしていないか、フンをよく観察しましょう。

このほか、そもそも挿し餌を与える量が少なすぎるために栄養失調を起こすこともあります。ヒナは環境変化によるストレスや寒さに敏感で、ちょっとしたことで食欲不振を起こします。また、ショップ等で与えられていた挿し餌と同じものでないと食べたがらなかったりすることもあるため、注意が必要です。

しぼんでいたそ嚢がパンパンになり、ヒナの頭ぐらいの大きさになれば十分ですから、目安にしましょう。なお、そ嚢が空になる前に挿し餌を与えたり、多すぎる量を与えたりすることは食滞の原因になりますから、与え過ぎにも注意が必要です。

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