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文鳥と食滞(そ嚢停滞)

そでの中に入るぽん先生
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トップ画像:ヒナの頃を思い出すぽん先生(@comatsu_cotoLi

そ嚢にエサが溜まってしまって、腐敗を起こしたり病原体の繁殖を起こしたりしてしまうのが食滞(そ嚢停滞)です。

挿し餌を与えられているヒナに多く見られますが、成鳥でも起こりうる病気です。

エサが食べられない状況は、文鳥を危険にさらします。症状と予防方法を確認しておきましょう。

食滞(そ嚢停滞)は、そ嚢内にエサや水が異常に長時間滞留した状態をいいます。

そ嚢は食べたエサを一時的に貯蔵する器官です。そ嚢に貯めたエサは摂取した水分でふやかされ、そ嚢の蠕動(ぜんどう)運動で混ぜ合わせられながら後部食道へ送り出され、胃へと運搬されていきます。

このそ嚢の蠕動運動が何らかの理由で弱まってしまったり、食道や胃が閉塞を起こして詰まっていたりすることによって、食滞が起こります。

食滞の原因

ヒナの場合

ヒナにおける食滞は、挿し餌や飼育環境が不適切であることが主な原因になります。

挿し餌の水分が少ないとエサをそ嚢から押し出しにくいため食滞を起こしやすくなります。また、作ってから時間が経って柔らかくふやけすぎた挿し餌を与えた場合も、柔らかすぎてそ嚢から送り出しづらいために、食滞の原因になります。

この他、挿し餌の種類が変わった、挿し餌の温度が冷たい、挿し餌が十分にかき混ぜられていない、作り置きで腐敗した挿し餌を与えたなどの理由でも食滞を起こします。

挿し餌の量やタイミングも重要です。挿し餌の量が多すぎる、そ嚢が空になる前に追加の挿し餌を与える、内臓の活動が弱まる夜中に挿し餌を与えるなどにより、食滞になります。

また、挿し餌の温度が高すぎるとそ嚢をヤケドしてしまい、これも食滞の原因になります。

一方、飼育環境にも注意が必要です。

温度が低すぎると、寒さで消化器の働きが悪くなるため、食滞を起こしやすくなります。

また、湿度が低すぎるとヒナが脱水状態になり、食滞の原因になる場合があります。

この他、ショップ等から連れてきた際の環境変化や急な温度変化はヒナにとってストレスとなり、消化器の働きが鈍って食滞を起こします。

上記のように、挿し餌や飼育環境が原因で食滞を起こす場合以外にも、他の病気の結果として食滞を起こしている場合があります。

例えば、胃炎・腸炎などの消化器疾患があると食滞を起こす場合があります。

その他何らかの感染症を起こしているために体力が失われ、食滞を起こす場合もあります。

成鳥の場合

食滞はヒナの病気のイメージが根強いですが、成鳥でも起きます。

成鳥における食滞は、種々の病気の末期症状、特に消化器の疾患に付随して見られることが多いです。

また、重金属中毒による神経障害でそ嚢の蠕動運動が阻害され、食滞を起こすこともあります。

そ嚢の蠕動運動に問題がなくても、胃腸の閉塞を起こし、消化器系が詰まっていることによって食滞を起こす場合もあります。

食滞の症状

食滞を起こすと、そ嚢はエサや水で満たされて膨らみます。羽毛の生え揃っていないヒナであれば、容易に観察することができます。エサが全く動かないと、文鳥は1日~2日で死んでしまいます。

食欲不振になり、吐出や嘔吐が見られます。元気がなくなり、羽を膨らませてじっとしているでしょう。体重は減少し、フンの回数が減ります。

下痢を起こす場合があります。脱水症状を起こし、症状の深刻化と共に皮膚の色が健康なピンク色から濃い赤色に変わっていき、弾力を失っていきます。

そ嚢の内容物が長時間滞留したために腐敗すると、酸臭を発するようになります(サワークロップ)。

腐敗した内容物によるそ嚢粘膜の損傷、あるいは細菌や寄生虫の増殖による感染症などにより、食滞からそ嚢炎を続発します。

そ嚢マッサージ

食滞を起こした文鳥のそ嚢をマッサージすることで症状を緩和することができます。

もちろんマッサージなので、胃炎や腸炎、感染症、重金属中毒などの食滞の原因となった病気を治療することはできません。

しかし、食滞によってエサが食べられない状況は大変危険です。曜日や時間帯によってすぐに獣医師の処置を受けることができない状況では、飼い主の手で対処するしかありません。

ぬるま湯、あるいはビタミン剤を少量溶かしたぬるま湯を少量飲ませて、そ嚢を優しくそっとマッサージします。この時乱暴にそ嚢を押すと、そ嚢を傷つけてしまうことがあるため注意してください。

その後、保温・保湿された環境で休ませ、様子を見ます。保湿されていないと脱水症状を起こしますから、きちんと湿度も管理しましょう。

このマッサージにより、そ嚢の内容物を胃へ送り出すことができます。ヒナで生じた不適切な挿し餌による食滞の場合、上記のマッサージで回復することもあるでしょう。

ただし、ヒナにマッサージを施して3時間寝かせてもそ嚢が空になっていなかったり、お湯を飲まなかったりした場合は、獣医師の診察を受ける必要があります。

また、ヒナに限らず、そ嚢の内容物が腐敗している場合は取り除く必要があるため、マッサージは推奨されません。

食滞の予防

成鳥の食滞は消化器疾患が原因であることが多いため、消化器疾患を予防することが重要です。胃炎や腸炎などのポピュラーな症状の原因と予防策を確認しておきましょう。

挿し餌期のヒナの食滞を予防するためには、適切な挿し餌と適切な飼育環境が欠かせません。

ヒナの挿し餌のポイント

挿し餌の温度は40度程度にする必要があり、ヒナに与える前に必ず温度を確認してください。挿し餌中に冷めてきたら湯せんで温めます。挿し餌の量は、そ嚢がヒナの頭くらいの大きさに膨らめば十分でしょう。また、ショップ等で与えていた挿し餌の作り方と頻度・時刻を聞いておき、最初は同じ挿し餌を同じ回数と時刻に与えるようにします。

挿し餌の作り置きは厳禁です。挿し餌を作ってからヒナに与えるまでに時間が空いた場合に、再度加熱して与えるなどということはせず、最初から作り直すようにしましょう。水分を吸収して膨張した挿し餌は体積あたりの栄養素が少なく、栄養失調の原因になる可能性があります。また、柔らかすぎてそ嚢から押し出しづらくなっています。

挿し餌の頻度はヒナの成長にあわせて変わっていきます。機械的に毎日同じ時間に挿し餌を与えるのではなく、そ嚢の中身が空になっていることを確認して調節しましょう。

ただし、夜8時以降の挿し餌は推奨されません。夜になると内臓の働きが低下し、朝までに消化しきれなくなるためです。1日の最後の挿し餌を食べなかった場合、パウダーフードなどを溶かしたお湯を少しあげて寝かせるようにしましょう。間違っても、夜中に寝ているヒナを起こして挿し餌を食べさせるようなことをしてはいけません。

ヒナの飼育環境のポイント

ヒナの飼育環境では、温度と湿度を常に最適な状態に保つことが重要です。

寒すぎる飼育環境では消化器の働きが悪くなります。温度は28度前後を維持し、急な温度変化が起きないように注意しましょう。冬の挿し餌の場合には、あらかじめ部屋の温度をある程度上げてからヒナを出すようにすると、負荷をより軽減できます。

そ嚢内のエサが乾燥しないように、湿度は70%を保つようにします。ヒナは挿し餌の水分しか与えられていませんから、低湿度は脱水症状を起こします。

また、急な環境変化はヒナにとってストレスです。ショップから新しい家に引っ越しただけで既に大変なストレスを受けていますから、最初は特に注意が必要です。ショップでは何時に起きて何時に寝ていたのかなど、よく確認しておきましょう。

ヒナは可愛いですが、文鳥の親に育てられているのであればエサをもらう時以外は暗い巣の中で寝ているのが普通です。挿し餌は手短に終えて、すぐにカゴに戻して寝かせてあげるようにしましょう。

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