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文鳥と過剰産卵

タマゴ型になるぽん先生
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トップ画像:タマゴ型になるぽん先生(@comatsu_cotoLi

不適切な食餌や生活環境、飼い主の接し方などにより、過度の発情から過剰産卵を起こす場合があります。

過剰でなくとも産卵は命がけの行為であるため、不要な発情は避けたいところです。

過剰産卵には様々な要因が絡み合っていて複雑ですが、愛鳥の健康と長寿のために、しっかり学んでおきましょう。

連続産卵のワンセットを1「クラッチ」と言います。

過剰産卵には、1クラッチ辺りの産卵個数が多すぎるパターンと、慢性的に産卵を繰り返すパターンの2種類があります。

平均的な文鳥では、繁殖回数は年に1~2回程度であり、1クラッチで6個前後の卵を産みます。初産の場合は2~3個になる場合が多いでしょう。

上記の目安を上回る繁殖回数や、1クラッチ辺りの産卵数が見られた場合、過剰産卵の可能性があります。

過剰産卵の原因

過発情や持続発情が原因となり、過剰産卵が発生します。

遺伝、飼育環境、生活リズム(特に日照時間)、食餌、卵巣疾患など、様々な要因が関与していると考えられており、何が決定的な要因となって過剰産卵が起こるのかは分かっていません。

過剰産卵の症状

過剰産卵が生じても最初のうちは問題なく産卵することができます。

しかし、次々と卵を形成するために、栄養不足、特にカルシウム不足が生じ、卵殻の異常形成や低カルシウム血症による筋肉運動機能の障害により、卵塞を起こしやすくなります。

不足したカルシウムは骨から補われるため、骨粗しょう症を起こして骨折しやすくなります。

タンパク質が欠乏すると、やせ衰えて、羽やクチバシの質の低下が見られるようになります。

また、卵管異常を生じやすくなり、卵管炎や卵管蓄卵材症などを引き起こします。

そもそも、産卵自体が文鳥にとって非常に体力を消耗する命がけの行為です。過剰産卵による極度の疲弊は身体の抵抗力を損なわせるため、様々な感染症が発症するリスクも増大します。

過剰産卵の予防と対処

様々な方法で発情のコントロールを試みることにより、過剰産卵の予防と治療が行われます。

食餌

高カロリーで脂質や糖質の多い食餌は発情を促すため、日頃のエサの栄養バランスに注意しましょう。

特にシード食の文鳥の場合、混合シードを与えていても特定のシードしか食べていないことがあります。文鳥に好まれるのはカナリーシードを代表とする高カロリーのシードであるため、偏食は避けなければいけません。1日で食べ切れる量のシードを与え、全ての種類を偏り無く食べるように促しましょう。

あるいは、文鳥が元気な時にペレット食への転換を行うのもひとつの手段です。既に発情期に入っている場合や、何らかの病気を患っている場合、エサの切り替えによる負荷が深刻なダメージになる可能性がるため、避けたほうが良いです。どうしてもという場合は、飼い主の独断では行わず、獣医師の指導のもとに行いましょう。

アワダマを代表とする高カロリーのエッグフードは、意図的に繁殖させたい場合に与えるエサです。日常的に与えないようにしましょう。

また、産卵時にはカルシウムの必要量が増大します。過剰産卵からカルシウム欠乏症を起こし、卵塞や異常卵の形成を起こす危険がありますから、ボレー粉などの副食を欠かさないことや、サプリメントの添加を行うようにしましょう。カルシウムだけでなく、カルシウムの吸収に必要なビタミンDの欠乏にも注意が必要です。

文献によっては、日常的なエサの量を少なめに制限することによって発情を抑制する方法を記載している場合があります。野生の鳥では、エサが充実している時期に繁殖が始まるため、エサの制限は合理的な方法ではあります。しかし、当然ながら栄養不足のリスクは上昇するため、リスクを承知の上でよく観察しながら行う必要があるでしょう。なお、既に過剰産卵が起きている状況でエサを減らすと、栄養失調による諸症状を急激に起こす危険があるため、独断で行ってはいけません。

飼育管理

不適切な飼育管理によって無用の発情を起こさないように注意する必要があります。

繁殖を行わないのであれば、ケージ内につぼ巣を設置する必要はありません。ただ、つぼ巣を置いていなくても、ケージ自体を巣だと考えて発情してしまう場合があります。巣材になるようなもの、例えばティッシュペーパーやおがくずの様な細かい床材は使わないほうが良いでしょう。新聞紙などをケージの床に敷いていて、文鳥が紙の下に潜っていたり、ちぎったりしている様子であれば、巣作りをしている気分になっていると思われます。フン切り網を設置して文鳥が触れられないようにしましょう。

日照時間や気温の季節的変化によるホルモンバランスの変化が発情に大きく関与していると考えられています。文鳥の原生地であるインドネシアでは一年を通じて一日の長さや気温にあまり変化はありませんが、代々日本で生まれた文鳥は既に日本の気候に適応している可能性があります。

実践的には、四季に応じて日照時間や気温を適度に変化させることにより、発情を健全に抑えられるとの認識が共有されています。ただし、文鳥は寒さに弱いので、冬の寒さそのままでは健康を害しますから、涼しくても20度を下回らないように調整しましょう。また、現代の文鳥は日照時間が長くなりすぎる傾向があります。長くても12時間を超えないように管理することで、健康な生活を送ることができるでしょう。

そのほか、不規則な生活リズムはホルモンバランスを乱す原因になります。規則的な生活を心がけましょう。ある程度は仕方のないことですが、朝遅く起こして夜中まで活動させたり、昼夜逆転のような生活は望ましいことではありません。文献により多少のばらつきはあるものの、夜は7時~8時くらいまでには寝かせるのが良いとされています。

また、飼い主が発情を促すような接し方をしている場合があり、注意が必要です。文鳥の背中をなでるのは交尾をしているのと同じような感覚を与えますし、手に乗せてあやすような動作も発情のきっかけになります。メスの文鳥の健康と長寿を考えるなら、ある程度距離感のある接し方が必要かもしれません。

では、既に過剰産卵が起きている場合にはどうしたら良いのでしょうか。原則としては獣医師の診察を受け、指示に従って対処することになりますが、ここでは参考のためによく行われる対処方法を紹介します。

まず、ケージ内につぼ巣や巣材になるようなもの、発情の対象になっているオモチャがあれば取り除きます。他の文鳥を飼っている場合、別の部屋にして姿が見えず、声も届かないようにしたほうが良いでしょう。パートナーの飼い主は接触する頻度や時間を少なくして、発情を促すような接し方をしないように気をつけます。

一般に、日照時間を短くすることが過剰産卵の中断に有効であるとされています。一日の長さを8時間~10時間程度にして、夜は早く寝かせることが推奨されています。ただし、この手法は鳥一般についての記述で見かけるものであり、インコ・オウム類と文鳥とで同じ手法で良いのかは判然としません。

日本に暮らす文鳥は、日照時間が短くなる秋頃に発情期を迎える「短日繁殖」の小鳥です。つまり、自然の日照時間に任せていると、文鳥は日照時間が短くなることが刺激となって繁殖に関わるホルモンの分泌が促進されるということです。

したがって、日本の文鳥の生態を考えれば「繁殖抑制のために日照時間を短くする」という手法は整合的では無いように思われます。

とはいえ、「しかし実際には、ラブバード、ヨウム、メキシコインコ類、バタン類、ブンチョウなどの一年を通じて光周期の変化が少ない熱帯に生息する種類も、明るい時間が長い方が発情しやすくなる傾向があります。」とする文献もあり、議論は錯綜しています。

いま文鳥大学が保有している書籍文献の中で文鳥に特化したものでは、繁殖抑制の手法に「日照時間をどうすべきか」という具体的な記述はなく、さらなる研究が必要です。

文鳥の繁殖期については下記の講義でも詳しく検討していますので、あわせてご覧ください。

なお、海外文献でのみ記載されていた情報にはなりますが、「日照時間を短くする」という手法とは逆に、3日程度24時間連続して明るく照らし続けることでホルモンの周期をリセットする手法が存在します。ケージ内から影になるようなものを取り除いたうえで、3日程度連続して昼の明るさを保ち続けます。発情が終わって落ち着いた様子になった場合、あるいはストレスによってエサを食べなくなったり膨羽状態になったりした場合は処置を終了します。

また、ケージの設置場所を変えたり、新しいオモチャを設置したりすることによって環境の変化を起こすことで、発情を終わらせることができる場合があります。

これまでに紹介した全ての過剰産卵を止める試みは、文鳥に過度のストレスを与えない範囲で行う必要があります。全部を同時に試すのではなく、様子を見ながら1つずつ行う方が無難なようです。繰り返しになりますが、実際に過剰産卵が見られた場合は独断で対処するのではなく、まずは獣医師の診察を受けるようにしましょう。

その他

産卵した卵を巣から取ってしまうと、産卵が続く原因になります。

卵を取らないか、取る場合でも偽卵を使いましょう。

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