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文鳥と注意すべき時期の水浴び

全力脱水中のぽん先生
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トップ画像:全力脱水中のぽん先生(@comatsu_cotoLi)

幼鳥期や繁殖期、病気の時など、水浴びに際して特別の注意が必要な時があります。

どういった時期にどのような配慮が必要なのかを確認し、愛鳥の健康を守るための知識を身につけましょう。

なお、平時の水浴びの基本的なルールについては下記の講義で解説していますので、今回の内容の前提として必ず抑えるようにしてください。

また、水浴びが文鳥にとってどのような意義を持つ行為なのかという点については、下記の講義で解説しています。

文鳥は幼鳥期の4週齢から11週齢頃までの時期が学習期と呼ばれ、いろいろなことを覚える非常に重要な時期とされています。学習期に覚えたことは生涯忘れず、大人になってから新しいことを覚えたり習慣を変えたりすることは大変です。ひとり餌もに慣れることはもちろん、ケージへの引っ越しや移動用キャリーへの挑戦、爪切りの経験など、学ぶべきことはたくさんあります。水浴びも学習期に慣らしていきます。学習期に水浴びを経験できなかったり、嫌な経験をしたりすると、一生水浴びをしない子になってしまうこともあるので要注意です。

水浴び器を用意してあげれば自然に水浴びを始める子が多いです。最初は水の量を少なめにしてあげると良いでしょう。陽の光が当たって水面がキラキラしていたり、放鳥時に水浴び器の水を飼い主が指で弾いて遊んでいたりすると、文鳥も興味を惹かれて積極的に水浴びすることがあります。

無理に文鳥を水浴び器に押し込むようなことをしてはいけません。水浴び器の入り口まで来ては帰っていったり、飛び込むのをためらったりと、飼い主としてはもどかしくなる様子が見られると思いますが、文鳥も新しいことにチャレンジしようと一生懸命です。無理に押し込んで怖い思いをさせれば、水浴びをしなくなってしまいます。手を出したくなる気持ちをぐっとこらえて、優しく見守ってあげましょう。

幼鳥の羽毛はあまり水を弾かないので、水浴びするとびしょ濡れになります。また、「羽ばたけば水を飛ばして乾かすことができる」ということもよく分かっておらず、濡れたまま震えていることもあります。したがって、幼鳥期には飼い主がいるときだけ水浴びさせるようにして、乾くまでケージの温度を上げてあげましょう。ケージの外で水浴びさせる場合は、暖房で室温を上げる必要があります。

洗面台やキッチンのシンクで蛇口から水を出して飼い主の手皿に水を溜める、いわゆる「打たせ湯(水)」は、幼鳥期からやっても構いませんが、水浴び器での水浴びも必ず覚えさせるようにしましょう。飼い主の手の中でしか水浴びしないようになると、後々困ります。また、蛇口の水を直接当てると必要以上に濡れますから、必ず乾ききるまで様子を見届けましょう。

打たせ湯(水)を楽しむ文鳥さんの様子

換羽期の水浴び

換羽期の文鳥は体力が落ちており、ホルモンの影響でストレスもかかっているため、特に健康状態に気をつかう時期です。免疫力が低下しており、各種感染症にかかりやすくなっています。

とはいえ、換羽それ自体は病気ではありませんから、水浴びは文鳥自身の判断に任せて良いとされています。

ケージ内でじっとしている時間が増えてストレスも溜まっている換羽期の文鳥にとって、水浴びによる適度な運動とストレス発散効果が健康に良いと考えられています。水浴びしたくない、あるいはできないほど換羽が厳しい時は文鳥も無理して水浴びしません。飼い主としてはいつも通り毎日新鮮な水を入れた水浴び器を設置してあげれば問題ありません。

なお、教科書的には、日本の文鳥に換羽が訪れるのは5月から6月であるとされています。5月は中旬くらいまで文鳥にとって肌寒い気温になることがあるので、室温が低くなり過ぎていないか注意が必要です。気温が上がりきって安定している12時から15時の間に水浴びできると、文鳥にとっても快適でしょう。

繁殖期の水浴び

交尾から産卵までは、水浴びについて特筆すべきことはありません。

卵を産んで、抱卵を始めるようになったら注意が必要です。抱卵はペアの親鳥が協力して初めてやり遂げることができるものです。抱卵を始めた文鳥たちの気が散らないように外部から刺激を与えないようにして、掃除でさえ手短に終えるように配慮が必要です。

水浴びも慎重に判断する必要があります。しっかり交互に卵を抱いているペアであれば、1羽ずつ放鳥・水浴びさせたりしても構わないとされています。ただし、放鳥とケージ外での水浴びは、短時間でケージに戻る文鳥でなければいけません。

卵が無事に孵って育雛期に入れば、親鳥に通常通りの水浴びをさせて問題ありません。健康ンア親鳥は羽毛の乾きも早く、ヒナを濡らすようなことはありません。

冬の水浴び

文鳥は冬でも水浴びします。初めて文鳥と暮らす飼い主は「寒すぎて風邪を引いてしまうのでは?」と心配になってしまうと思いますが、だからといって水浴びにお湯を使ってはいけません。

文鳥は羽繕いの際に尾腺から出る油脂を羽根に塗って、羽根の強度と撥水性を高めています。お湯で水浴びするとこの油脂が落ちてしまい、羽根が大量の水を含んでしまいます。結果、乾燥に要する時間が長くなり、体温を大きく奪われて体調を崩す原因になります。

水浴びにお湯を使うことはできませんが、冷水でなければいけないわけでもありません。水浴びの水は室温程度のぬるい水が良いとされており、出したばかりの冬の水道水は冷たすぎます。多くの文鳥は水浴び器に飛び込む前にクチバシで温度を確認して、冷たすぎると感じれば室温に戻るまで待つため、基本的には飼い主がやることはありません。とはいえ、もし気になるようであれば10度前後の水を用意してあげると良いでしょう。

冬の水浴びでは室温にも配慮が欠かせません。ケージ外で水浴びした場合は、十分に温かい部屋で完全に乾くまで様子を見るか、ヒーターで暖かくなっているケージ内に帰してあげるようにしましょう。

病鳥の水浴び

病気の時は身体に余計な負担をかけないことが重要です。文鳥の具合が悪そうな時は水浴びを止め、保温と保湿に努めます。早めに病院を受診しましょう。

保温・保湿によって文鳥に元気が戻った場合、あるいは病院を受診して水浴びしても問題ないとの許可があった場合は、また水浴びさせても構いません。ただし、室温を暖かく保ち、しっかり乾かしていることを見届けるようにしましょう。

高齢鳥の水浴び

いつ頃から老化の兆候が見られるかは個々の文鳥によって異なりますが、一般的には7歳を過ぎると老鳥であると言われています。

老鳥は主要な熱源のひとつである大胸筋が衰えて体温を保持する能力が低下します。免疫力も落ちており、ちょっとした寒さでも体調を崩しやすくなっています。羽質が低下して撥水性が落ち、水浴びで濡れすぎてしまうこともあるでしょう。さらに、激しい運動ができなくなり、身体を乾かすのにかかる時間が長くなります。

つまり、老鳥は水浴びで体調を崩しやすくなっていますから、若い時に比べて飼い主がよく注意してあげる必要があります。室温に戻した水を使うことを徹底し、乾くまで暖かい場所で見守ってあげましょう。蛇口の水で直接水浴びをする「打たせ湯(水)」は温度調節が難しいことと、文鳥が濡れ過ぎてしまう傾向にあることから、老鳥の身体には負担が大きすぎる場合があります。

また、若い時は夜に水浴びしてもピンピンしていた子でも、歳を取ると厳しいかもしれません。日中の温暖な時間帯に水浴びする習慣をつけられると良いでしょう。

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