文鳥と開口呼吸
トップ画像:これはアクビだと説明するひなた先生(@chiyochiyo_17)
普段はクチバシを閉じて呼吸している文鳥ですが、暑い時や病気で息が苦しい時にはクチバシを開けて呼吸している様子が見られることがあります。
開口呼吸でなぜ体温調節できるのでしょうか?そして、開口呼吸をしている文鳥の体には何が起きているのでしょうか?
文鳥と開口呼吸について学んでいきましょう。
暑い時の開口呼吸
文鳥を含め、鳥には汗腺が無いため、汗をかくことによる体温調節はできません。
そこで、暑い時には口を開け、浅く早い呼吸(パンティング)を行うことにより、気道からの蒸散で熱を逃します。
もう一つ、効率的に体温調節をする仕組みに足の対向流熱交換があります。暑い時には足に流れる血流が増加し、足から熱を逃します。
参考:文鳥の足
さらに、綿羽による空気の層を薄くするすることで、少しでも熱を逃がしやすくする様子も見られます。
参考:綿羽-ふわふわの断熱素材
したがって、暑い時に見られる文鳥の様子は、羽をピッタリと体につけて足を露出し、開口呼吸を行っているというのが、典型的なものになります。
どれくらいの温度で文鳥が暑いと感じるかは、それぞれの子によって差がありますし、湿度によっても変わります。ただ、日本の真夏で30度に近づくような気温になると、多くの文鳥が暑いと感じ、開口呼吸を行うようになるでしょう。
また、開口呼吸に伴うパンティングで体内の二酸化炭素(CO2)が過度に放出されると、二酸化炭素と水分子(H2O)の化学反応で生じている炭酸イオン(HCO3–)が血液中に不足するようになります。炭酸イオンは卵殻への炭酸カルシウム(CaCO3)の沈着に必要なイオンです。したがって、産卵期の文鳥を開口呼吸をしなければならない程の暑い環境におくと、卵殻の正常な形成に支障をきたす可能性があります。
異常卵の形成は卵塞などの繁殖関連の疾患を招く原因になりますから、特に注意が必要です。
参考:文鳥と卵塞(卵詰まり)
画像:化学も得意なひなた先生(@chiyochiyo_17)
病気の時の開口呼吸
病気の症状として開口呼吸が見られる場合があります。
鼻炎や肺炎、気のう炎などの呼吸器系の疾患により呼吸困難となり、息苦しいために開口呼吸を見せます。
しかし、開口呼吸から単純に呼吸器系の疾患であると判断することはできません。例えば、食道が炎症による狭窄を起こしても呼吸困難になることがありますし、脂肪肝によって肥大化した肝臓と蓄積された脂肪によって気のうのスペースが圧迫されることにより呼吸困難を起こすこともあります。
この他、卵塞や腎疾患による気のう圧迫も呼吸困難の原因となります。
参考:文鳥と腎疾患
病気の症状による開口呼吸の場合、暑いわけではないので、力なく座り込んで足を羽毛にしまっているでしょう。体調が悪い時に一般的に見せる膨羽の状態になり、体を膨らませて体温を維持しようとします。
また、貧血によって開口呼吸を見せることもありますが、この場合はクチバシの色が白っぽくなっているでしょう。
病気による開口呼吸は、症状が進行しないと見つけにくい場合があります。早期発見するためには、放鳥時に飛び回ったあとや、何かにビックリして飛び退いたあとなどに特に注意しましょう。安静にしている時は開口呼吸をするほどまで息苦しくなかったとしても、運動後には苦しいために開口呼吸をする様子が見つけられる可能性があります。
参考文献
書籍
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