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文鳥とタンパク質・アミノ酸欠乏症

換羽中のぽん先生
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トップ画像:換羽でタンパク質の必要量が増大中のぽん先生(@comatsu_cotoLi

成長中の幼鳥や産卵期のメス、換羽期などには、タンパク質の必要量が増加するため、欠乏症を起こしやすくなります。

また、穀類はアミノ酸の含有率が低いため、シード食の文鳥ではアミノ酸の欠乏にも注意する必要があります。

文鳥の成長段階や時期に応じて、カナリーシードやペレット、動物性タンパク質など、いろいろなエサの量を調整し、健康を維持しましょう。

タンパク質は鳥の体をつくるための最も重要な栄養素の一つです。

タンパク質は体内で分解されてアミノ酸になりますが、アミノ酸のバランスも重要になります。

普段は食餌を通じて何事もなくタンパク質を摂取している文鳥ですが、換羽や産卵などで必要量が増加した時、あるいは胃や腸の機能不全が生じて消化吸収が十分にできない時には、タンパク質・アミノ酸が欠乏することがあります。

羽毛の発育不全や爪・クチバシの変形、繁殖不良などが生じます。

タンパク質・アミノ酸欠乏症の原因

鳥の食餌に必要なタンパク質は、成鳥で10%前後、幼鳥で20%前後必要だと言われています。また、産卵や換羽、冬季には必要量が増加します。

文鳥用の混合シードやペレットなどはタンパク質が10%強程度になるように調整されていることが多いですが、自分でシードを配合した場合など、エサに含まれるタンパク質の含有量が少ないとタンパク質欠乏症を起こしやすくなります。

繁殖期や換羽期、冬季にはタンパク質の必要量が増加しますが、足りないタンパク質は過食によって補います。この時、充分な量のエサが与えられていないなど何らかの理由で過食が制限されると、タンパク質欠乏症を起こします。

自分の意思で食事内容をコントロールできないヒナにおいては、挿し餌の栄養バランスと量が不適切だと欠乏症を起こすでしょう。特に、アワダマ(タンパク質含有量10%前後)だけで育てられた場合には、タンパク質・アミノ酸欠乏症を始め、様々な栄養失調を起こします。

また、胃腸炎や感染症などでタンパク質の消化不良・吸収不良が起きることによっても、欠乏症を生じます。

タンパク質の量が十分であっても、アミノ酸の不均衡が生じているとアミノ酸欠乏症を起こします。

特に穀類にはリジンやメチオニンの含有率が低いため、シード食の文鳥では欠乏しやすくなっています。

タンパク質・アミノ酸欠乏症の症状

成長期にタンパク質が欠乏すると成長不良を生じます。

挿し餌のヒナの場合、欠乏分を過食で補おうとして水分過剰症が発生し、食欲不振から体重の減少が見られます。

この他、羽毛の発育不全を起こすことがあるでしょう。

成鳥でタンパク質の不足から過食を行い、摂取したエネルギーを使い切れなかった場合には肥満になります。

アミノ酸欠乏症では、成長不良と繁殖不良、異常羽毛などが生じます。

羽毛・クチバシ・爪などの原材料となるメチオニンやシスチン、羽毛の正常化に必要なリジンやアルギニンが欠乏すると、ストレスラインなどの羽毛の形成異常や、クチバシ・爪の軟化や変形が見られる可能性があります。

タンパク質・アミノ酸欠乏症の予防

タンパク質の消化・吸収を妨げる胃腸炎の予防については、下記の講義で解説していますので参考にしてください。

食餌について、通常は一般的な混合シードでタンパク質は足りていますが、文鳥の成長段階や時期に応じて調整することが重要です。

ヒナの挿し餌については、アワダマだけでなくパウダーフードやサプリメントを活用しましょう。また、作ってから時間が経って水分を含んでふやけた挿し餌は、体積の割に栄養素が少なくなってしまうため、挿し餌は必ずヒナに与える直前に作るようにしましょう。

幼鳥や繁殖期のメス、換羽後期で羽が生えてきた時期など、タンパク質の必要量が増大する時期があります。

そうした時期には、カナリーシードの混合量を少し増やしてあげると良いでしょう。カナリーシードはあげすぎると肥満になりやすくなりますが、高タンパクでアルギニンも多く含まれており、きちんと目的を持って使えば便利なシードです。

ペレット食の文鳥の場合は、換羽期用など、タンパク質の必要量が増大している時期向けに調整されたものの利用を検討しましょう。

また、煮干しやかつおぶし等、動物性のタンパク質を与えても良いでしょう。こうした副食は穀類に比べると圧倒的に高いアミノ酸含有率であり、栄養状態の改善に役立ちます。ただし、与えすぎは塩分過多などの問題を起こすため、少量に留めるように注意しましょう。

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