文鳥とワクモ
トップ画像:ワクモが付いてないか点検中のぽん先生(@comatsu_cotoLi)
夜中に文鳥に忍び寄り、吸血してかゆみと貧血をもたらすのがワクモというダニです。
現代の文鳥は屋内飼育が一般的なため、あまり見かけることはありませんが、外でニワトリを飼っていたり、野鳥が巣を作っている場合、ワクモが家の中に侵入して文鳥にまで到達することがあるでしょう。
油断して放って置くと、文鳥が衰弱して死んでしまうこともあるため、ワクモが疑われる場合はきちんと病院を受診しましょう。
ワクモとは0.7mmから1.1mmほどのダニで、文鳥から吸血します。
ワクモは長卵形で脚が長く、すばやく移動します。人間が肉眼で観察することができ、赤い点が動いているように見えるでしょう。このため、英語ではRed miteと呼ばれています。
ワクモは、日中はケージの隅や物陰に隠れて生活・繁殖しています。夜になると文鳥を襲い、1時間程かけて吸血します。
高温多湿を好み、特に梅雨と夏の時期には増殖に注意が必要です。
Web上では「文鳥が夜中に起きて暴れる原因」として挙げられていることが多いですが、現代の衛生的な屋内飼育環境では、あまりワクモが発生することは無いでしょう。
ニワトリなどの禽舎を持っている家庭や、スズメやツバメなど野鳥の巣が作られた家庭では、屋外で発生したワクモが部屋の中に侵入し、文鳥を襲う可能性があります。
なお、ワクモに似た症状を起こすダニにトリサシダニが居ます。こちらは一生を鳥の体表で暮らすダニで、夏季に見られることは少ないでしょう。
ワクモの症状
アスペルギルスの胞子を吸引することによって感染します。
アスペルギルスは環境中に一般的に存在していますが、特につぼ巣やフンで汚れた巣材、シード、湿ったエサなどが、増殖の一般的な媒体になります。
高湿度と25度以上の暖かい温度がアスペルギルスの増殖に好適な環境であり、育雛中の巣などは要注意です。換気不足や過密飼育は、飼育環境中の胞子密度を増加させます。
胞子を大量に吸引しなくても、文鳥の免疫力が低下していると二次感染を起こすため、病鳥の飼育環境は衛生的に保つ必要があります。
ワクモの症状
夜間に吸血が行われ、かゆみのために暴れることがあるでしょう。
多量に吸血されると貧血を起こし、元気や食欲が減退します。
ワクモを放置しておくと、かゆみのストレスや睡眠妨害のために文鳥が衰弱して死んでしまうこともあるため、ワクモを見つけた場合は病院を受診し、殺虫剤の処方を受けましょう。
ワクモの予防
屋外で鳥を飼育している家庭や、野鳥の巣が作られた家庭では特に注意が必要です。
屋外禽舎の環境消毒を徹底し、野鳥の巣は撤去することが、ワクモ予防の観点からは推奨されます。
また、ワクモ予防に限らないことですが、屋内飼育の文鳥でも飼育環境を衛生的に保つことは健康のために非常に重要なことです。
フンの掃除や定期的なケージ全体の清掃を、確実に行っていきましょう。止まり木やオモチャの清掃も忘れてはいけません。
繁殖を考えていないのであれば、つぼ巣を設置する必要はありません。無用の発情を招きかねないうえに、不衛生になりがちな設備ですので、目的も無く設置するのは望ましくありません。
また、ワクモの好む高温多湿の環境はカビの増殖にも好都合です。カンジダやアスペルギルスの増殖を防ぐためにも、特に梅雨の時期は換気と湿度管理をしっかり行いましょう。
参考:文鳥とアスペルギルス症
参考文献
書籍
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