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文鳥とアスペルギルス症

背伸びするぽん先生の上半身
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トップ画像:ケージの掃除を要求するぽん先生(@comatsu_cotoLi

アスペルギルスというカビの感染によって、主に呼吸器系が障害される病気がアスペルギルス症です。

しかし、初期にはほとんど症状が見られないため、気づかない内に手がつけられない程に重篤化していることもあります。

治療の難しさもあり、予防の重要性が特に強調されています。

健康な食生活と衛生的な飼育環境で、しっかり予防しましょう。

アスペルギルスとは真菌、つまりカビの一種です。真菌の仲間にはカンジダなどがいます。

アスペルギルスは土や穀物などの自然環境中に一般的に存在する菌であり、文鳥の免疫が正常に機能している間は特に問題を起こしません。

文鳥が病気やストレスによって弱ったとき、あるいは不衛生な環境でアスペルギルスが増殖し、大量の胞子が放出された場合などに、重大な感染症を引き起こします。

アスペルギルス症の原因

アスペルギルスの胞子を吸引することによって感染します。

アスペルギルスは環境中に一般的に存在していますが、特につぼ巣やフンで汚れた巣材、シード、湿ったエサなどが、増殖の一般的な媒体になります。

高湿度と25度以上の暖かい温度がアスペルギルスの増殖に好適な環境であり、育雛中の巣などは要注意です。換気不足や過密飼育は、飼育環境中の胞子密度を増加させます。

胞子を大量に吸引しなくても、文鳥の免疫力が低下していると二次感染を起こすため、病鳥の飼育環境は衛生的に保つ必要があります。

アスペルギルス症の症状

アスペルギルス症の症状は、急性と慢性の大きく二種類に分けることができます。

急性症状

大量の胞子を吸引したことによって急性に症状が現れ、「アレルギー型」と呼ばれることもあります。

肺炎や気のう炎により、深刻な呼吸困難や頻呼吸が見られます。嗜眠や食欲不振などの元気のない様子になり、多飲多尿や嘔吐の症状を見せます。腹水による腹部膨満が見られることもあり、数日内に死亡します。

ただし、上記のような症状を見せないまま、突然死する場合もあります。

慢性症状

アスペルギルスが体内で増殖することによって慢性症状を起こし、「感染型」と呼ばれることもあります。

急性症状に比べるとこちらのタイプを発症する場合が多いですが、早期発見が難しく、むしろ慢性症状の方が致死的であるとする文献もあります。

アスペルギルスによる病変は全ての気道でよく見られますが、特に肺と気のうに増殖することが多いです。肺炎や気のう炎を起こします。

ただし、その初期症状は非常にわずかか、全く見られないこともあります。現れる症状も一般的なものであり、運動後や爪切り後に息が上がる様子が見られたり、食欲があるのに体重が減少するなどです。

感染が進行すると呼吸困難や開口呼吸、テールボビング、呼吸音、乾性の咳、声の変調などを起こします。ただし、呼吸器症状は疾病の後期まであまり見られません。

気のうなどで増殖したアスペルギルスが直接他の臓器へと浸潤したり、大量の胞が血液に乗って移動することで、様々な臓器が障害されます。

肝臓の障害によって肝肥大や緑色の尿酸が見られるようになったり、腎臓の障害によって腎肥大や多飲多尿の症状が見られるようになったりするでしょう。これらに伴って腹水の貯留が見られることもあります。

このほか、胃腸障害が見られることもあります。

アスペルギルス菌糸は血管侵襲性であるため、軽度であっても呼吸器の出血から突然死を招くことがあります。

慢性型による症状の発症から死までの期間は、数日から数ヶ月にわたる場合もあります。

アスペルギルス症の予防

アスペルギルス症は早期発見の難しさから、主に海外文献では治療の難しさと予防の重要性が強調されています。

アスペルギルス症の予防で重要なのは、菌の増殖を抑制することです。

ケージの清掃を定期的に行い、日々の換気に注意しましょう。オモチャや止まり木も忘れずに清掃してください。高温多湿な梅雨の時期は特に要注意です。

食餌には新鮮なものを与え、特に湿ったシードは早く交換しましょう。

一方で、極度の乾燥は文鳥の粘膜を傷つけ、免疫機能を低下させるため、これもまた感染の原因になり得ます。湿度は50%程度を保つのが良く、70%を上回ると除湿が必要であるとされています。

つぼ巣内部の環境はアスペルギルスの増殖にうってつけです。繁殖を考えないのであればつぼ巣を設置する必要はありません。

上記のほか、カビを除去する機能を持つ空気清浄機を使うことで予防効果が高くなるとする文献もあります。

衛生的な飼育環境を確保すると同時に、文鳥の栄養バランスにも注意しましょう。健康な食餌によって免疫力を高めることは、アスペルギルスを含め様々な病気を予防します。

特にビタミンAの欠乏は粘膜による防御機能を損なってしまい、アスペルギルスに感染しやすくなります。シード食の文鳥では、青菜やサプリメントを与えることでビタミンAを欠かさないようにしましょう。

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