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鳥と基礎代謝量-小鳥は1日何kcal消費しているのか?

エネルギー摂取中のかえで先生
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トップ画像:エネルギー摂取中のかえで先生(@torinosimobe)

鳥にとってエネルギーは飛翔という運動のために大量に必要な栄養素ですが、安静にしている時でも体温維持のためにたくさん必要になります。

何もしていなくても消費されるエネルギーの量を基礎代謝量といいますが、小鳥は1日あたり何kcalを基礎代謝として消費しているのでしょうか?

今回は、鳥の基礎代謝量を計算する方法について学びます。

エネルギーは、生きて体を動かすために必要な「活動の源」です。エネルギーの単位である「カロリー(calory)」は「1gの水の温度を1℃上昇させるために要するエネルギーの量」と定義されています。人間の世界では、キロカロリー(kcal)表示の方がよく見られます。

エネルギーは主に食事によって摂取します。食べ物にはエネルギーのもととなる、タンパク質・脂質・炭水化物が含まれており、これらを総称して三大栄養素と呼んだりすることもあります。

摂取されたエネルギーは、運動することによって消費されることはもちろん、何もせずに安静にしているだけでも消費されていきます。息をしたり心臓を動かしたりといった、生きていくうえで最低限必要なエネルギー量を「基礎代謝量」といいます。

基礎代謝量は年齢や健康状態によって変動があるものの、人間の平均的な基礎代謝量は、成人男性で1日あたり約1,400~1,500kcal、成人女性で約1,100~1,150kcalほどであるとされています。

鳥の基礎代謝量を推定する

人間ほど精密ではありませんが、鳥の基礎代謝量の目安を計算する方法もあります。数式は次のとおりです。

スズメ目の基礎代謝量=(129×体重0.75)×1.5

非スズメ目の基礎代謝量=(78×体重0.75)×1.5

以下で数式の中身を詳しく見ていきましょう。

基礎代謝基準値

まず、スズメ目の鳥と非スズメ目の鳥とで、式に現れる数字が異なる点に注目です。スズメ目の式では129になっている部分が、非スズメ目の式では78になっていることに気づくでしょう。

この数字は「基礎代謝基準値」を表しています。基礎代謝基準値は、鳥が24時間の基礎代謝で消費するエネルギーの理論値であり、単位は「kcal/kg」です。つまり、「体重1kgあたり、24時間で何キロカロリーを生命維持のために消費するか」を表す数字であるということです。

体重が数十グラムに過ぎない鳥に関する計算式で「体重1kgあたり」という表示が出てくることに違和感があるかもしれませんが、他の生き物と比べる時に便利なのであまり気にしないで下さい。

具体的な値を見ると、非スズメ目の基礎代謝基準値78に対して、スズメ目は129と高い値になっています。ちなみに、人間の基礎代謝基準値は30代男性で22.3であり、30代女性で21.7となっています。スズメ目の鳥は人間の約6倍のペースでエネルギーを消費していることが分かります。

鳥はいつでも飛び上がることができるように体温を40℃程度に保持し、いわば「カラダの温まった状態」を保ち続けています。この高い体温はエネルギーを燃やすことで維持されていますから、鳥の基礎代謝基準値は人間に比べて遥かに高い値になるというわけです。

数式の他の項目

数式の次の要素を見てみましょう。基礎代謝基準値は「体重1kgあたり」の数字でしたから、基礎代謝量を計算したい鳥の具体的な数字を掛ける必要があります。鳥では、「体重の0.75乗」の値を使います。この「体重」はキログラム表示なので、例えば25gの文鳥なら「0.0250.75」という計算を行うことになります。

数式の最後にある1.5は調整項です。鳥の年齢や健康状態に応じて、1.0から3.0の間で数字を変更するようですが、私たちは専門的な研究や診断を行うわけではないので1.5を用いれば良いでしょう。

体重別基礎代謝量の表

さて、これで数式の意味は分かりましたが、計算が大変です。そこで、1g単位で計算した結果を表にまとめましたのでご参照下さい。

表:体重別の基礎代謝量(1日あたり)

体重 スズメ目 非スズメ目
20g
10.3kcal
6.2kcal
21g
10.7kcal
6.5kcal
22g
11.1kcal
6.7kcal
23g
11.4kcal
6.9kcal
24g
11.8kcal
7.1kcal
25g
12.2kcal
7.4kcal
26g
12.5kcal
7.6kcal
27g
12.9kcal
7.8kcal
28g
13.2kcal
8.0kcal
29g
13.6kcal
8.2kcal
30g
13.9kcal
8.4kcal
31g
14.3kcal
8.6kcal
32g
14.6kcal
8.9kcal
33g
15.0kcal
9.1kcal
34g
15.3kcal
9.3kcal
35g
15.7kcal
9.5kcal

上記の表を見ると、例えば体重25gの文鳥は1日で12.2kcalを基礎代謝で消費し、体重35gのセキセイインコでは9.5kcalを消費することが分かります。

繰り返しになりますが、上記の数値は目安に過ぎません。人間の基礎代謝量を推定するための数式に比べると、年齢さえ考慮に入っていない簡便なものになっています。

また、上記の値はあくまで「健康な鳥の基礎代謝量の目安」です。日々ぐんぐん成長していくヒナであれば、同じ体重でももっとエネルギーが必要になりますし、病気やケガをした鳥は治癒のためにエネルギーの需要量が増加します。卵を身籠っているメスの鳥もエネルギーが大量に必要になります。そして何より、上記の値の計算には鳥が飛び回ることによって消費している大量のエネルギーは入っていません。

しかしながら、基礎代謝量を知ることで鳥のエネルギー需要についておおよその相場感を身に付けることができます。特に飼い鳥は野生の鳥と異なり外敵の危険が無いため、健康管理において栄養管理・体重管理が占める重要度が相対的に高くなっています。

エサのあげすぎは肥満になりますが、無理なダイエットは栄養失調を起こします。

重すぎても軽すぎてもいけない体重管理の「重心」として、具体的な基礎代謝量の数字を参考にすることができるでしょう。

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