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文鳥と気管炎・鳴管炎

カメラ目線のポン先生
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トップ画像:人間の風邪とは違うと注意喚起するポン先生(@ta63kaede)

気管炎や鳴管炎は、初期には元気であることに加えて、人間の風邪のような症状を見せるため、軽視されがちです。

しかし、肺炎や突然死の原因になる危険な疾病であるため、すぐに病院を受診する必要があるのです。

気管炎・鳴管炎がどのような症状を見せるのかしっかり確認し、予防と早期治療に活かしましょう。

気管炎・鳴管炎の原因

文鳥の気管炎・鳴管炎は細菌感染によるものがしばしば見られます。

真菌感染では、アスペルギルスによるものが一般的で、カンジダによるものは稀です。

気管炎が生じている場合、通常は肺炎を伴いますが、鳴管アスペルギルスのように気管のみの発生する場合もあります。

このほか、キノウダニの寄生によって気管炎・鳴管炎を生じることもあります。

非感染性の場合、シードの誤嚥や刺激性ガスの吸入が原因となります。また、経口投与時に薬剤を誤嚥したことがきっかけとなって気管炎・鳴管炎を起こすこともあります。

気管炎・鳴管炎の症状

気管や鳴管の症状は人間の風邪に似ているため、軽視されることがあります。しかし、鳥の気管炎・鳴管炎はすぐに肺炎や気管閉塞を起こして突然死に至ることが比較的多いため、注意が必要です。

初期の気管炎では多くの場合、全身状態の悪化は見られません。食欲不振や膨羽などの一般的な症状が出ず、元気なように見えます。

気管の軽度の炎症では乾性の咳が見られます。

分泌物が出始めると湿性の咳をするようになります。咳とともに痰を出すこともあるでしょう。また、痰が絡むことでプチプチ音(湿性ラ音)が聞こえることもよくあります。

中毒の時などは気管上皮が糜爛して、漿液性の滲出物が分泌され、出血することもあります。発泡やくしゃみの症状が見られるでしょう。

一方、気管の一番奥にある鳴管に炎症が生じると、声枯れや声質の変化などの症状が見られます。重度の鳴管炎では声が出なくなります。

また、もともと複雑な構造になっている鳴管は、炎症による分泌物や異物などによって塞がれやすくなっています。鳴管の閉塞が生じると、呼吸と同時に勝手に音が漏れてしまう発声呼吸が起きます。「キューキュー」あるいは「ヒーヒー」といった音が漏れ出ているように聞こえます。

気管炎・鳴管炎が進行し、腫れや分泌物、あるいは異物による閉塞が重度になると、呼吸困難症状を見せるようになります。開口呼吸や促迫呼吸、スターゲイジング、チアノーゼなどを起こします。

チアノーゼを起こした文鳥のクチバシは蒼白色になるため、異常に気づきやすいでしょう。このほか、呼吸にあわせて尾を上下に運動させるテールボビングも多く見られます。

痰や閉塞物が気管内を完全に閉塞するか、肺に落ちて気管支内を閉塞すると、呼吸ができなくなるため突然死します。

気管炎・鳴管炎の予防

感染性の気管炎・鳴管炎を予防するために、栄養バランスのとれた食餌と衛生的な飼育環境が欠かせません。

栄養面では、気道粘膜を健康に保つためにビタミンAを不足させないことが特に重要です。青菜やサプリメントで補給しましょう。

飼育環境では、免疫力を低下せさないことと、病原体の増殖を防ぐことがポイントになります。

急激な温度変化や不規則な生活リズムは免疫力を低下させます。夜は暗く静かにできる部屋で、ケージは窓から少し離したところに設置するのが望ましいです。また、適度な換気は病原体の増殖を抑えるために有効です。

非感染性の気管炎・鳴管炎を予防するためには、刺激性ガスへの警戒が重要です。フッ素樹脂でコーティングされたフライパン等からは有毒なガスが出ることがあるため、キッチンに文鳥を近づけてはいけません。また、タバコの煙や近隣マンションの外装工事などにも注意しましょう。

また、エサや薬剤の誤嚥は挿し餌のヒナや病鳥に起きるため、特に注意しなければなりません。もともと体力がありませんので、影響も甚大です。

特に挿し餌は、ヒナから文鳥を育てる飼い主であれば誰もが日常的に行う行為ですが、少し手元が狂うだけでも危険であるということを理解しておく必要があります。挿し餌をする時には集中できる落ち着いた環境で、慎重に行うようにしましょう。

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