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文鳥とカンジダ症

少し下を見つめるぽん先生
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トップ画像:ケージの掃除を要求するぽん先生(@comatsu_cotoLi

消化管の常在菌であるカンジダ菌が増殖し、消化器系を障害するのがカンジダ症です。

文鳥の免疫力が正常に機能していれば問題を起こさない菌ですから、食餌の栄養バランスと飼育環境をしっかりチェックして、予防することが重要です。

また、不適切な挿し餌による食道のケガやヤケドも発症の原因になりますから、ヒナの挿し餌には細心の注意を払いましょう。

カンジダとは真菌、つまりカビの一種です。真菌の仲間にはアスペルギルスなどがいます。

カンジダは鳥の消化管の常在菌です。文鳥の免疫が正常に機能している間は、増殖が抑えられて少数に留まっているため、特に問題を起こしません。

文鳥の免疫力が低下した場合や、カンジダの増殖に好都合なエサが与えられた場合などに、問題を起こします。

カンジダ症の原因

何らかの理由でカンジダ菌が増殖するとカンジダ症を起こします。

文鳥が何らかの疾患にかかって弱っていたり、引っ越しや急激な冷え込みなどによってストレスを受けていたりして、免疫が抑制されるとカンジダが増殖しやすくなります。

また、菌交代という現象が起きてカンジダが増殖する場合があります。消化管内に限らず、皮膚や粘膜においても、正常な細菌叢(微生物の集団のこと)がカンジダのような悪玉菌と拮抗し、その増殖を防いでいます。正常な細菌性が抗生物質の長期乱用などによって減少した場合、悪玉菌が増殖しやすくなります。この現象を菌交代と呼びます。

抗生物質の乱用が無くとも、悪玉菌の増殖に都合の良いエサが与えられた場合、菌交代現象が起こります。単糖類や加熱炭水化物が与えられると、カンジダ菌が増殖しやすくなります。具体的には、.ご飯やパン、お菓子などの加熱調理された炭水化物が該当します。

ヒナの挿し餌も、アワダマを加熱して与えることが多いため、カンジダ菌の好むエサになります。ヒナは免疫がまだ充分に育っていないこともあり、カンジダ症を起こしやすくなっています。

上記のほか、ヤケドや異物誤飲による消化管内の損傷やビタミンA欠乏などが生じると、皮膚粘膜の防御機能が破壊され、カンジダ症を起こしやすくなります。

カンジダ症の症状

舌下や口腔内、そ嚢、食道、胃腸などの消化器系に肥厚や潰瘍を生じます。

粘液を伴う白いかたまり(プラーク)が口の中にできることがあり、最初は苔状に散在していたものが除々に拡大していきます。

口の中の病変は痛みを伴うため、食欲不振や嚥下困難を起こします。食道やそ嚢に病変が生じると、吐出や食欲廃絶、食滞をもたらします。食滞を起こしたそ嚢はカンジダにとって良好な培地となるため、状況は更に悪化します。

カンジダの病巣が胃腸へと拡がると、嘔吐や下痢、多尿、血便、嗜眠、脱水などの症状が見られ、最終的には衰弱して死亡します。

このほか、ケージやケース、文鳥自体から、カンジダによる独特の腐敗臭がする場合があります。

カンジダが皮膚において増殖することもあります。詳しくは下記の講義をご覧ください。

免疫が極度に低下した場合、カンジダが血液に乗って全身に撒き散らされることがあります。心臓、肝臓、肺、眼内など、全身の様々な臓器を障害します。

カンジダ症の予防

適切な環境と食餌で文鳥の健康を保ち、カンジダの増殖を防ぐことが重要です。

ケージや止まり木などを衛生的に保ち、規則正しい生活リズムを心がけましょう。急激な温度変化や騒音、振動は文鳥に大きなストレスを与える場合があります。また、タバコの煙や刺激性ガスを吸引することによって粘膜が損傷し、カンジダ増殖の原因となる危険があります。ケージの設置場所には注意しましょう。

食餌はビタミンAが豊富な青菜を欠かさないようにし、ご飯やパンなどの加熱炭水化物を与えないように注意してください。

ヒナはどうしてもカンジダ症を始めとする様々な疾病のリスクが高くなっています。温度や湿度といった飼育環境を最適なものにし、挿し餌の栄養バランスや温度には細心の注意を払いましょう。

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