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文鳥の栄養学 ― タンパク質

スマートに講義するもみじ先生
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トップ画像:スマートに講義するもみじ先生(@torinosimobe)

タンパク質はアミノ酸が多数結合してできています。

筋肉や臓器はもちろん、クチバシや爪に至るまで、タンパク質は体を構成する要素として非常に重要なものです。さらに、酵素やホルモン、免疫物質など、生理機能の維持にも幅広く関与しています。

文鳥におけるタンパク質について詳しく学びましょう。

タンパク質は20種類のアミノ酸によって形成されています。アミノ酸の組み合わせや種類、量などの違いによってタンパク質の形状や働きが異なってくるため、アミノ酸のバランスを保つことも健康維持には欠かせません。

この20種類のアミノ酸には、生き物が体内で合成できるものと、そうでないものとがあります。体内で合成できないアミノ酸については、食事によって体外から摂取することが必須となります。これを「必須アミノ酸」と言います。

文献によって多少のブレが見られるものの、一般的に鳥の必須アミノ酸は次の10種類であると考えられています。

  1. アルギニン(Arginine)
  2. リジン(Lysine)
  3. ヒスチジン(Histidine)
  4. ロイシン(Leucine)
  5. イソロイシン(Isoleucine)
  6. バリン(Valine)
  7. メチオニン(Methionine)
  8. スレオニン(Threonine)
  9. トリプトファン(Tryptophan)
  10. フェニルアラニン(Phenylalanine)

なお、アルギニンを除く残りの9種類は人間の必須アミノ酸でもあります。つまり、鳥は人間よりも、食事によって摂取しなければならない必須アミノ酸の種類が1種類多いわけです。

上記10種類以外にも、次の3種類のアミノ酸は体内で十分な量を合成することができず、欠乏しやすいため、鳥の「準必須アミノ酸」と呼ばれることがあります。

  1. グルタミン酸(Glutamic acid)
  2. グリシン(Glycine)
  3. プロリン(Proline)

なお、上記で名前が挙がらなかった「非必須アミノ酸」が「健康のために非必須なんだ」と勘違いしてはいけません。

体内で合成できないアミノ酸のことを、「食事による摂取が必須」という意味で「必須アミノ酸」と呼んでいるに過ぎません。非必須アミノ酸は食事によって摂取する必要は無いかもしれませんが、必須アミノ酸と同様に体内で重要な役割を担っています。

何らかの疾患によって体内の合成・吸収が十分に機能しなくなった場合、非必須アミノ酸に関しても食事による摂取が重要となる可能性があります。

タンパク質のはたらき

タンパク質はアミノ酸に分解されて吸収された後、体に必要なタンパク質に再合成されます。

筋肉、皮膚、内臓、血液、羽毛、クチバシ、爪など、「外から見える部分・見えない部分」「柔らかい部分・硬い部分」を問わず、体のほとんどの部分はタンパク質でできていると言っても過言ではありません。

体を形作るほか、タンパク質・アミノ酸は酵素やホルモン、免疫システムにおける抗体の生成にも必要です。

さらには、体内で行われているほぼ全ての生理化学作用にも関与しています。酸素の運搬や血餅の生成による止血作用、キズの修復、体の成長など、いずれも生命活動の維持において非常に重要です。

タンパク質・アミノ酸が不足するとどうなる?

タンパク質は体を形作っている材料です。その不足は羽毛やクチバシ、爪の発達不良として
現れる場合があります。

さらに、タンパク質・アミノ酸の不足は免疫機能の低下を招き、様々な病気にかかりやすくなります。

筋肉の量も低下してしまうため、鳥の胸を触った時に大胸筋が痩せ細っているのを感じることができるかもしれません。

また、必須アミノ酸をバランスよく摂取することができていない場合、代謝機能が低下して肥満が起こりやすくなります。

体が日に日に成長していくヒナの時期や、卵を宿している産卵期、さらにヒナに餌を与えなければならない育雛期など、体の栄養需要が増加している時期には、タンパク質・アミノ酸が不足しやすくなります。

特に文鳥の場合、ヒナをアワダマの挿し餌で育てるのがかつて一般的であったという事情があり、タンパク質不足・アミノ酸不均衡による発育不全や自立の遅れが頻発しました。

アワダマだけによる育雛は、タンパク質だけでなく、ビタミン等の欠乏も招く危険性が高いことが知られています。現代では、アワダマに加えてパウダーフード等の栄養価の高いものも加えた挿し餌も利用するのが一般的です。

なお、成長期用の高タンパク質タイプのペレットを大人になってからも常用していたりすると、タンパク質の過剰症を起こすことがあるため、注意が必要です。肝疾患、腎疾患、腫瘍の発生率を上昇させる可能性があると考えられています。

アミノ酸のバランスと良質なタンパク質

鳥が摂取すべきタンパク質の推奨量に関しては、食餌に含まれる粗タンパク質が12%〜14%程度が目安であると一般的に言われています。

ヒナや若鳥、換羽期などのタンパク質需要の増大期には20%程度が必要になるとされています。

また、タンパク質の「摂取量」のほかに、タンパク質の「質」についても考える必要があります。

摂取されたタンパク質は一度アミノ酸に分解され、体が必要とするタンパク質に再合成されますが、このとき合成に必要なアミノ酸が揃っていなければ、必要とするタンパク質を十分に合成することができません。

特に必須アミノ酸は体内で合成できないため不足することが多くなりがちです。このことから、必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品のことを「良質のタンパク質を含む食品」と言ったりします。

一般に、肉や魚、卵などの動物性タンパク質は必須アミノ酸をバランスよく含んでいる傾向にありますが、文鳥が主食とするシード(穀物種子)は、リジンやメチオニン、トリプトファンなどの含有量が低い傾向にあります。

ある種の必須アミノ酸が不足している場合、鳥は過食によって不足分を補おうとします。エサの中にわずかに含まれているリジン等をかき集めようとするわけです。

しかしながら、過食によっても十分な量の必須アミノ酸を摂取することができない場合があり、さらには余分に摂取したタンパク質や脂質、炭水化物によって肥満になることもあります。

こうした事態を避けるために、様々なエサをバランスよく食べ、アミノ酸のバランスを良好に保つことが重要です。

例えばシード食の文鳥なら、カナリーシードを代表とする脂肪種子を食べることで、アミノ酸のバランスは改善します。カナリーシードばかり食べていると肥満になりますが、適切な分量に止めれば、高タンパクで良好なアミノ酸バランスを持つ優れたエサであると言えます。

あるいは、おやつに煮干しやかつおぶしなどの動物性タンパク質を少量与えることも、シードでは不足しがちなアミノ酸を摂取する良い習慣となるでしょう。

もし可能であれば、シードに加えてペレット食も取り入れるようにすると、さらに栄養バランス全体を良好に保ちやすくなるでしょう。

タンパク質の量だけでなく、含まれているアミノ酸の質も考慮して、健康な食生活を送りましょう。

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