文鳥と肥満
トップ画像:もちもちぽん先生(@comatsu_cotoLi)
文鳥は太りにくい体質をしていますが、不適切な食餌や病気を原因として肥満になる場合があります。
人間と同様、文鳥にとっても肥満は様々な病気を引き起こすため、しっかり予防する必要があります。
肥満の原因と肥満が起こす病気、そして肥満の予防について、詳しく学んでいきましょう。
高カロリー高脂質な食餌や運動不足によって肥満になります。
鳥類は高い体温を維持するために代謝が早く、飛翔にも莫大なエネルギーを消費するため、本来は太りにくい体質です。
野生の鳥は1日の大半を餌探しに費やしています。動き回って餌を探し、見つけた餌が必ずしも満足な栄養を持つとも限りません。上記の太りにくい体質も合わさって、太りたくとも太れないというのが野生の鳥の実情です。
一方で飼い鳥、特に文鳥のように屋内のケージ飼育が一般的な小鳥は、狭い空間のために運動不足になりやすく、労せずして豊富な栄養を持つエサを食べられるため、太ることが可能になります。
上記のような飼育環境に必然的に伴う問題の他にも、肥満の原因には様々なものがあります。
例えば、繁殖期や換羽期、冬季にはタンパク質の必要量が増加しますが、この時にタンパク質の不足やアミノ酸の不均衡が生じると過食を行い、エネルギーを使いきれないために肥満になることがあります。
また、甲状腺の機能が低下すると代謝機能に異常を起こし、肥満の症状が見られることもあります。
参考:文鳥と甲状腺腫
あるいは、不規則な生活や睡眠不足、過度のストレスなどを原因として過食を起こし、肥満になっている場合もあります。
もちろん、食餌の栄養バランスが偏っているということも考えられるでしょう。
「単に太っただけだから、運動させれば大丈夫」という考えは危険です。
肥満の症状
腹部や胸部、頸部の羽毛をかき分けた時に、黄色に変色した脂肪が付いている様子から、肥満を確認することができます。
肥満は様々な病気の原因になり、羽が抜けやすくなったり、重すぎる体重のために足に過度の負荷がかかったりします。足の裏は平らになり、擦過傷や炎症を起こしやすくなります。
肝臓に中性脂肪が蓄積され、脂肪肝を起こすことがあります。脂肪肝の急性症状は突然死を招くこともあり、危険な状態です。
タンパク質や脂質の過剰摂取は腎臓に負荷をかけ、腎疾患を起こすこともあるでしょう。慢性の腎疾患は早期発見が難しい疾病です。症状も、下痢を起こすだけでなく呼吸困難や内臓痛風、突然死など重篤なものがあります。
参考:文鳥と腎疾患
また、肥満の文鳥が産卵すると、拡張した卵管が元通りに収縮するまでに時間がかかるようになるため、卵管脱の原因になります。
肥満の予防
まずは肥満に気づくことができなければいけません。
体重測定を習慣づけて、いち早く異変に気がつけるようにしましょう。
成長の文鳥の平均的な体重は25gくらいです。しかしながら、それぞれの子によって正常な体重は大きく異なりますから、健康な状態では何グラムなのかを予め知っておく必要があります。
体重測定のほか、たまにお腹や胸の羽毛を避けて黄色い脂肪が付いていないか確認することも良いでしょう。
食餌内容がカロリー過多、脂質過多になっていないかに注意することも、肥満予防の重要なポイントです。
文鳥のカロリー源は主食のシードです。一般的な4種混合シードで太ってしまうようであれば、カナリーシードを抜いた3種混合シードを利用したり、混合率の異なるシードを利用したりすると良いでしょう。ペレット食の導入も、ひとつの解決策になり得ます。
シードの栄養素については下記の講義も参考にしてください。
おやつや繁殖餌として、煮干しやかつお節を与えることがあります。動物性タンパク質はアミノ酸の均衡をとる意味で有益ですが、与えすぎは肥満に繋がります。あくまで「少量のおやつ」や「一時的な繁殖餌」に留めることが重要です。
なお、ここでは肥満の予防が主題のためカロリー制限に重点を置いた解説になっていますが、栄養失調も文鳥の病気の原因であることを忘れないようにしてください。特に、繁殖期や換羽期、冬季には栄養の要求量が増えていますから、カロリー不足にならないように注意してください。
栄養管理のほか、適度な運動も肥満予防と健康増進に欠かせません。放鳥の時間をしっかり設けて、文鳥が飛び回って運動できるようにしましょう。
しかし、手乗り文鳥だと、ほんの少し飛んだだけで満足し、放鳥時間のほとんどを飼い主の手や肩で過ごす子もいます。それはそれで信頼感を築く大切な時間ですし、追い回して無理に飛び回らせるなど論外です。
こうした子の場合は、ケージを大きなものにすることで運動量を自然に増やすことができます。飛翔ほどではないにしても、ケージ内での三角跳び(止まり木からケージの金網に飛びついて体勢を維持し、別の止まり木に飛び移る動作)も相当の運動になります。
参考文献
書籍
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