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文鳥と産褥テタニー・産褥麻痺

厳しい面持ちで鎮座するぽん先生
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トップ画像:厳しい面持ちで鎮座するぽん先生(@comatsu_cotoLi)

産卵は様々なリスクがつきまとう命がけの行為です。

産褥テタニー・産褥麻痺もそのひとつで、産卵によってカルシウムが失われることをきっかけに、痙攣や麻痺を起こします。

重篤な場合は急死することもあるため、産卵期の栄養管理には繊細な注意を必要とします。

鳥類は産卵に際して多くのカルシウムを失います。

カルシウムというと「骨格の形成に必要な栄養素」として有名ですが、実はそれだけではありません。カルシウムの一部は血液中に存在し、ケガをして出血した時の血液凝固作用に関与していたり、筋肉運動を支配する神経の機能を正常に維持するために利用されていたりします。

産卵後には急激な低カルシウム血症が原因で神経機能に障害を生じ、起立困難から筋肉の持続的な痙攣や麻痺の症状を見せることがあります。この痙攣が「産褥テタニー」と呼ばれ、麻痺が「産褥麻痺」と呼ばれます。

産褥テタニー・産褥麻痺の原因

産褥テタニー・産褥麻痺の主要な原因は低カルシウム血症であると考えられています。

低カルシウム血症の原因は過剰産卵やカルシウムの供給不足、カルシウムの吸収阻害物質の多給、ビタミンD不足などが主です。

過剰産卵を起こした文鳥は次々と卵を形成してしまうため、カルシウム不足に陥りやすい状態にあります。産卵時の子宮収縮運動にもカルシウムが関与しているため、産褥テタニー・産褥麻痺のリスクに加えて卵塞のリスクも高くなります。

カルシウムの吸収を阻害する物質としては、シュウ酸や脂質が挙げられます。

文鳥を始め、鳥の飼い主の間では「ほうれん草はシュウ酸を多く含むから鳥に与えてはいけない」ということが昔から言われています。シュウ酸が体内でカルシウムと結合して吸収を阻害したり、血中のカルシウム濃度を下げたりする作用があるのです。

一方で、脂質の過剰摂取もカルシウムの吸収を阻害します。

鳥が摂取した脂肪は、膵臓が分泌するリパーゼという脂肪を分解する酵素により、小腸で消化・吸収されます。脂肪がリパーゼの作用で分解されると「脂肪酸」が発生しますが、この脂肪酸がカルシウムと結合して水に溶けず、吸収できない物質(カルシウム石鹸)を形成してしまいます。このため、脂質の過剰摂取はカルシウムの吸収を阻害するのです。

ビタミンDはカルシウムの吸収や血中カルシウム濃度のコントロールに密接に関与しているため、ビタミンDが不足することによっても低カルシウム血症を生じることになります。

産褥テタニー・産褥麻痺の症状

産卵後の急激な低カルシウム血症により脚の不全麻痺を生じて跛行を起こし、起立困難となって床に座り込みます。

呼吸促迫や筋肉運動の協調不全、精神異常、痙攣などを生じ、稀に急死します。

産褥テタニー・産褥麻痺の予防

産褥テタニー・産褥麻痺を予防するためには適切な栄養管理によるカルシウム欠乏の予防と、過剰産卵の抑制・早期治療によるカルシウム喪失の防止がポイントとなります。

そもそも、カルシウムの欠乏は産褥テタニー・産褥麻痺以外にも様々な疾病の原因になります。

産卵期を迎えてカルシウムの必要量が多くなった文鳥はボレー粉などのカルシウム源をたくさん食べるようになりますから、不足しないように注意しましょう。

副食としてボレー粉を与えていない場合、つまりペレット食の文鳥や、サプリメントを供与している文鳥では、産卵期用のものを利用するようにすると安心です。

カルシウムの吸収にはビタミンDが必要ですが、文鳥が利用するビタミンDは植物には含まれていません。十分な日光浴を行うことで体内のコレステロールから合成するか、ペレット・サプリメントを利用して補う必要があります。

カルシウムの吸収を阻害する物質の多給にも注意しましょう。シュウ酸はほうれん草のほか、お茶やタケノコ、バナナ等に多く含まれています。これらの食べ物は、特に産卵期の文鳥には与えない方が良いでしょう。

脂質は文鳥にとって重要なエネルギー源である一方で、過剰に摂取するとカルシウムの吸収阻害が問題になります。

文鳥が主食とするシードの中では、カナリーシードとアワの脂質が比較的高くなっております。高脂質のシードは文鳥が好んで食べます。ヒエやキビなどの他のシードもバランス良く食べるように、シードは1日分ずつ与えて毎日食べきるようにする工夫が必要です。

上記のような栄養管理のほかに、過剰産卵の予防・抑制も重要になります。過剰産卵については下記の講義で詳しく検討していますので、あわせてご覧ください。

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