文鳥と胃炎
トップ画像:何となく胃の形になるぽん先生(@comatsu_cotoLi)
人間ではお酒の飲み過ぎや不規則な生活、過度のストレスなどで胃炎が起きます。
文鳥の胃炎は、主にカンジダやトリコモナスなどの感染によって引き起こされます。
胃炎が進展して胃潰瘍や胃穿孔(胃に穴があく)になってしまうと大事に至る可能性もあるため、油断できない病気です。
食べた物を消化するために、文鳥の胃では強酸性の胃酸が分泌されています。
胃酸の強力な酸性は、本来なら胃自体も溶かしてしまいます。これを防ぐため、胃を粘液の層が保護しています。
胃酸と粘液が上手くバランスすることで、胃の粘膜を傷つけることなく食べ物だけを消化できるようになっているのです。
この胃酸と粘液のバランスが崩れる。あるいは、異物の誤飲や感染症などによって、胃の粘膜が傷つくと胃炎になります。
胃炎の原因は「感染性」と「非感染性」に分けることができます。
感染性
文鳥における感染性の胃炎はカンジダやトリコモナスによって引き起こされます。
カンジダは常在菌であり、健康な文鳥では何も発症しません。しかし、何らかの理由で免疫力が低下すると、胃炎の他にも口内炎など、様々な症状を起こすおそれがあります。
参考:文鳥と口内炎
また、トリコモナス症も免疫力が低いヒナや幼鳥に多発する病気です。
参考:文鳥とトリコモナス症
この他、まれに胃虫によって胃粘膜が破壊されることがあります。
非感染性
重金属中毒や、シュウ酸カルシウムを多く含有する植物の摂取による中毒、異物の誤飲、刺激物の摂取などによって胃の粘膜が傷つき、胃炎を発症します。
ストレス性の胃炎もあり、卵塞や外傷、ヤケドなどをきっかけとして胃炎が生じます。
ただ、ストレスから胃炎に至る過程については文献を見つけることができませんでした。
人間の胃炎の場合、過度のストレスを受けると胃酸の分泌を司る自律神経に乱れが生じ、胃の消化機能の阻害や胃酸の過剰分泌が起きて胃炎に至るという過程をたどります。
鳥の自律神経は人間のものとほぼ同じ機能を持っていることから、同様の過程を経てストレスから胃炎に至っている可能性は十分に考えられるでしょう。
さらなる研究が必要です。
胃炎の症状
軽度の胃炎では症状が見られないことが多く、進行すると食欲不振や膨羽、沈うつ状態、吐き気などの一般症状を呈します。
重度の胃炎になると食欲廃絶、嘔吐、脱水症状、嗜眠などが見られ、食餌を取らないために急激に痩せ衰えていきます。
この他、胃の粘膜に出血が生じると「メレナ」と呼ばれる黒色のタール状のフンを出すようになります。
メレナは血液中の赤いヘモグロビンが胃酸によって化学反応を起こし、黒い塩酸ヘマチンに変化することで形成されます。
したがって、胃での出血以外にも、胃より上の消化器官や呼吸器に出血があると、メレナを起こすことがあります。
メレナは黒い色のほか、ツヤがあってネバネバしているのが特徴です。単なる黒っぽいフンとは、色・ツヤ・質感によって区別されます。
胃炎から胃潰瘍や胃穿孔が続発することがあります。これらの症状は貧血や出血性ショックによる突然死を起こすことがあります。
胃炎が重症化しないよう注意する必要があります。
胃炎の予防
適切な栄養バランスの食餌と衛生的な飼育環境によって、免疫力を健康に保つことが胃炎予防の第一です。
文鳥に感染性の胃炎を引き起こすカンジダやトリコモナスは、どちらも免疫力が低下しなければ発症しません。
栄養の面では、胃の粘膜を健康に保つためにビタミンAの欠乏に注意しましょう。
参考:文鳥とビタミンA欠乏症
非感染性の胃炎を予防するためには、重金属中毒や有害なものを食べることによる中毒を防ぐため、文鳥にとって危険なものを隔離することが必要です。
特にキッチンは文鳥にとって有害・危険なものがたくさんあるため、文鳥が行けないようにする工夫が重要になります。
参考:文鳥のケージ設置場所
ストレス性の胃炎に対しては、引っ越し等による環境変化があった時や、換羽期には特に注意しましょう。過度に刺激を与えず、安静に過ごさせてあげましょう。
また、仮に文鳥の胃炎が人間と同じように自律神経の乱れによって引き起こされるのであれば、不規則な生活も胃炎の原因になります。
寝る時間・起きる時間をしっかり守り、規則正しい生活を心がけましょう。
参考文献
書籍
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