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文鳥と主要なビタミンの働き

クチバシに野菜が付きつつも光り輝くぽん先生
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トップ画像:ビタミンの充実でクチバシが輝き始めたぽん先生(@comatsu_cotoLi)

ビタミンは文鳥の健康に様々な形で関与している重要な栄養素です。

ビタミンの種類と、それぞれのビタミンがどのような働きをするのかについてまとめましたので、飼育書や文鳥大学の講義を読む際の参考にしてください。

ビタミンの多くは野菜から摂取することができます。

しかし、ビタミンDのように、中には野菜からは摂取できないビタミンもありますので、注意が必要です。

ビタミンは13種類あり、水に溶けやすい水溶性ビタミンと油に溶けやすい脂溶性ビタミンとに分けられます。

水溶性ビタミンにはビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)、およびビタミンCがあります。水に溶けやすく熱に弱いため、水に浸して長時間置いたり加熱をしすぎるのは避ける必要があります。ヒナの挿し餌に使われるアワダマはこのような処理が施されていることが一般的なため、水溶性ビタミンの大部分は破壊されています。

脂溶性ビタミンにはビタミンA、D、E、Kがあり、脂肪と一緒に摂ることで体内に吸収されやすくなる特徴をもっています。

水溶性ビタミンは過剰に摂取してしまっても体外に排出されますが、脂溶性ビタミンは過剰に摂取すると体内に蓄積されやすく過剰症を起こす場合があります。サプリメントなどのビタミン剤を利用すると自然にはあり得ないほど多量のビタミンを摂取できてしまうため、用法・用量の指示を守りましょう。

ビタミンA

ビタミンAは脂溶性ビタミンで、正常視力、免疫システムおよび生殖に欠かせないものです。

ビタミンAは表皮保護ビタミンと呼ばれており、粘膜の防御機構を正常に維持するために必要です。欠乏すると呼吸器や消化器、生殖器の表皮と眼に障害が発生します。粘液の生産が減少し、病原体の侵入に対する表皮の抵抗力が低下します。

ビタミンAが不足した状態では鼻炎や口内炎、副鼻腔炎などの上部気道および眼窩下洞の障害を起こしやすくなります。

眼の表面も傷つきやすくなり、結膜炎を起こしやすくなります。

また、腎上皮の損傷が起こり、血中の尿酸含有量が数倍に増加することがあります。

ビタミンAの需要はエサのタンパク質含有量が増加すると高まります。したがって、換羽や産卵期の文鳥ではビタミンAの需要量が高まっています。

文鳥は、野菜に含まれるβ-カロテンからビタミンAを合成します。特にβ-カロテン含有量の多い野菜はニンジンです。

ビタミンAの欠乏に関しては、下記の講義も参考にしてください。

ビタミンD

ビタミンDは、成長中の鳥の骨の正常な発達には欠かすことのできない脂溶性のビタミンです。

ビタミンDは腸管、骨、腎臓に作用して血中のカルシウム濃度およびリン濃度の増加をもたらすほか、骨格への沈着にも関与しています。カルシウムは出血時の血液凝固や筋肉の運動を司る神経の機能にも関与しているため、ビタミンDの不足はカルシウムの利用を妨げることにより、これらの機能障害を起こします。

産卵鳥においてビタミンDが欠乏すると軟殻卵となり、卵詰まりの原因となることがあります。

また、成長中の若鳥でカルシウム、リン、ビタミンDのアンバランスが生じると骨格の形成不全を生じます。

逆にビタミンDが過剰になると軟部組織、特に腎臓の石灰化を起こしたり、高カルシウム血症による心不全や痙攣を起こしたりします。

鳥類はビタミンD2の利用率が低く、ビタミンD3のみを利用します。ビタミンD3は植物に含まれていないため、野菜から摂取することはできません。しかし、日光浴によってコレステロールから合成することができます。

したがって、ペレットやサプリメントによってビタミンDが供給されていない文鳥では、日光浴は必須になります。なお、ビタミンDの合成に必要な紫外線はガラスを通過しづらいため、日光浴の際は窓ガラスを開ける必要があります。

ビタミンDについては、下記の講義も参考にしてください。

ビタミンE

ビタミンEは脂溶性のビタミンであり、強い抗酸化作用に特徴があります。生体膜の機能を正常に保つことや、赤血球の溶血(赤血球が破裂すること)の防止、生殖機能を正常に保つことに関与しています。

ビタミンEの欠乏は神経と筋肉の機能に異常を起こします。若鳥で欠乏すると羽の質が低下し、虚弱になります。斜頸や跛行、横転、昏睡を起こすこともあります。成鳥では性欲が減退し、ヒナの発育にも障害が生じて大部分は死亡することになります。

ただし、ビタミンEは穀物中に十分な量が含まれています。シードか、栄養バランスの計算されたペレットを主食とする、文鳥を含めた多くの飼い鳥では、ビタミンEの欠乏はまず生じません。

ビタミンK

ビタミンKは止血に重要な役割を果たす脂溶性のビタミンです。欠乏すると出血時に血が凝固しにくくなり、多量の失血につながります。

ビタミンKは緑黄色野菜に豊富に含まれているほか、腸内の細菌も必要量の一部を生産しています。

野菜を与えられなかったり、抗生物質の長期投与で腸内細菌の生産活動が行われなくなったりすると、欠乏します。また、胆管閉塞などによって吸収に必要な胆汁の分泌が少なくなることによっても、欠乏症を呈するようになります。

古い飼育法として、「鳥に木炭を与えて腸を健康に保つ」というものがあります。これは、木炭の表面に腸内の有害物質や炎症産物を吸着させて排出を促すためのもので、根拠が無いわけではありません。しかし、木炭がビタミンも吸着してしまうため、木炭製剤の常時投与はビタミンKをはじめ様々な栄養失調の原因になり得ます。

ビタミンB群

ビタミンB群は全て水溶性のビタミンで、シードや野菜に多量に含まれています。

ビタミンB1の欠乏症は脚気という名前で知られており、加熱処理などでビタミンB1が失われたアワダマだけで育てられたヒナに多発します。

ビタミンB12は野菜には含まれていません。煮干しやかつお節などの動物性タンパク質から摂取できるほか、腸内微生物によっても合成されています。ビタミンB12の不足は発育障害を起こし、羽生が悪くなり、死亡率が高まります。また、卵の孵化期間中にヒナが死亡しやすくなります。

ビタミンC

ビタミンCは水溶性ビタミンで、コラーゲンの合成に必要です。

鳥は腎臓でビタミンCを多量に生産しています。果実や花の蜜で生活している一部の鳥を除けば、ビタミンCを食餌から摂取する必要は無いと考えられています。

むしろ、ビタミンCの過剰摂取は鉄分の過剰吸収を促し、鉄貯蔵病を招く可能性があると指摘されています。

もちろん、日常的に食べる野菜からビタミンCを摂取している程度で鉄貯蔵病など生じませんが、ビタミン剤などで意図的に添加する必要は無いという点だけ注意しましょう。

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