文鳥が噛んでくる理由を知ろう
トップ画像:噛んだりしなそうなまろ先生(etsu_etsu_etsu_y)
二十数グラムの重さしかない小さな身体に、クリクリとしたお目々を持った愛らしいお顔を持った文鳥さん。こんな可愛い彼らですが、よく飼育される鳥の中でも気性が荒いと言われ、「怒りん坊」と評されることも多々あります。
怒った文鳥は「キャルルル」と相手を威嚇する声を出しながら、勢いよく噛みつきます。
文鳥と初めて接する飼い主の中には、一緒に暮らす文鳥が噛みついてくることに悩む方がちらほらいらっしゃるようです。
けれど文鳥が噛む(またはヒトが「噛まれる!」と感じるような動作をする)のは、怒った時ばかりとは限らないのです。
文鳥が噛むときには、その時々で違った理由があります。
本講義では、文鳥が噛む理由、原因を学び、どのように接すればよいかを考えましょう。
学習期
生後半年くらいまでの若鳥は、身の回りのあらゆる物をよく噛みます。
文鳥にとってクチバシを使うことは人間が手を使うことと同じくらい重要なことです。人間の手にあたる部位が羽に進化しているため、餌を取って皮を剥いたり、水の温度を測ったりと、こまごまとした行動をクチバシを使って行います。
学習期の文鳥にとって色々なものを噛むことは、生活するための技術を磨く遊びなのです。悪気はまったくないため、叱られたとしてもなぜ叱られるのかが文鳥には分かりません。
文鳥としては悪いことをしていないのに、「メッ!」と強めの声を出して驚かされたり、シッと追い払われたり、急に掴まれたりと、突然飼い主から攻撃されたように感じます。そんなことされたら、あなたのことを「ヤなやつ」と学習してしまいます。
換羽中
年に1〜2回、羽毛が抜け替わることを「換羽(かんう)」といいます。古い羽が抜けて、新しい羽が生えてくるまでのこの期間は、文鳥はひどく疲れ、イライラしやすくなります。
生理的変化として、食欲が落ち、動作も鈍くなり、新陳代謝が悪くなり…とてもつらい状態なのです。顔色(アイリング、クチバシ、足の血色)も悪くなって、いつもは鮮やかな赤色をしている部位が薄ピンク色になり、弱々しい印象です。
体調の優れない換羽中の文鳥は神経質です。手乗り文鳥でも、換羽中はあまりケージの外へ出たがらなかったり、なでられるのを嫌がって飼い主を噛んだりします。(これは生えてきた新しい羽の鞘が刺さって痛い、ということもあるでしょう。)
参考:正羽-翼に生える立派な羽
換羽の間は体調を崩しやすい時期でもあるので、なるべくストレスを与えないよう、そっとしつつ様子をよく見てあげてください。
飼い主の気を引きたいとき
「トリアタマ」なんて、おバカさんを意味するひどい言葉がありますが、文鳥はヒトが思っているよりずっとかしこい鳥です。インコやオウム類、カラスなどは頭が良い鳥として認知されているようですが、文鳥が持つ知性にも、もっと多くの方に気がついてほしいものです。
放鳥しているときに腕や首、足などをチクリと噛むのは、飼い主がちょっとよそ見をしている時だったり、スマートフォンをいじっている時だったりします。これは文鳥に対して不誠実な態度です。
文鳥はすぐれた視力を持っています。ひとりで遊んでいるように見えても、ちゃんと飼い主が何をしているか、何に注目しているかわかっています。
参考:文鳥の目
なので、せっかく外に出て一緒の時間を過ごしているのに、よそへ気を散らしている飼い主へ、「こっちを見て」と注意しているのです。
放鳥は、文鳥にとってパートナーである飼い主とのデートのようなものです。デート中に恋人を放っておいては失礼というものです。放鳥時はちゃんと文鳥を見て、話しかけて、真剣に遊んでくださいね。
参考:文鳥と事故-ケガ系 ・文鳥と事故-ヤケド系
羽繕いしてくれている
文鳥は、仲良しの鳥とのコミュニケーションとして、相手の顔周りの羽繕いをします。この羽繕いを、仲良しのヒトにもおこなうことがあります。
文鳥としてはこの上ない愛情表現のひとつなのですが、ヒトには文鳥のような羽毛がないため、チクチクと小さな痛みを感じるようです。
巣作り行動
これは、厳密には噛んでいません。クチバシの先で飼い主の手や身体を押すこの動作を「噛まれる」と勘違いしてしまう方もいるかもしれないので、念のため載せておきます。
オスの文鳥に多く見られる行動で、脚を踏ん張り、全身を使ってグイグイ押すのが特徴です。
怒っている
飼い主が文鳥にとってイヤなことをした時、そんなときはもちろん、噛みつきます。
クチバシは文鳥の武器ですからね。文鳥が怒る理由については下記の講義をご参照ください。
噛まれるときの対処
最後に、文鳥を怒らせないために、飼い主ができることを確認しておきましょう
皮膚を出さないようにする
長袖の服を着用する、ストールで首を覆うなどして、噛まれても痛くないように、全身の皮膚を覆ってしまう方法です。
この方法なら、文鳥にストレスを与えることなく、飼い主も噛まれる痛みを緩和することができます。
やめてほしい、という気持ちを伝える
噛もうとする文鳥のクチバシを、人差し指と親指でソッとつまみます。すぐに噛むのをやめてくれるわけではないのですが、「やめてほしい」という気持ちを伝えることができます。
文鳥同士のコミュニケーションでは、羽繕いなどをやめてほしいときに、無言で相手のクチバシの先を自分のクチバシで受け止めて制止する、という行動を取ります。これを模倣するのです。
根気強く続けることで、だんだんと強く噛むことが減っていくはずです。
文鳥の気持ちを受け止める
文鳥が噛んでくる理由と、それに対してできる対処について見てきました。
まず大事なのは、文鳥が噛んでくる理由を知ろうとすること、そして受け止めることではないでしょうか。
文鳥はヒトの言葉を話すことはできませんが、それはヒトだって同じです。ヒトは文鳥のコトバを話すことはできません。
言葉が通じない分、文鳥は飼い主に、行動・鳴き方・視線など、全身を使って意思を伝えようとします。噛むことも、気持ちを表現する手段のひとつです。
文鳥がどうしてその行動をするのか、なにを伝えたいのか、感じ取ろうとしてみてください。
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