文鳥国勢調査2019 結果報告 [4: 食事編]
2019年(令和元年)9月1日〜9月30日に実施された第1回 文鳥国勢調査の結果をご報告致します。 回答数は1723件! 皆さま、ご協力ありがとうございました。
報告内容を1ページにまとめると非常に長くなって読みづらいので、分割して公表しています。
このページでは「4: 食事編」と題して、文鳥の食事に関する調査結果と考察を発表します。
※スマートフォンでご覧の方は、グラフを横にスワイプすることで全体を確認できます。
※なお、便宜上「11羽以上飼育している」との回答は「11羽」として計算し、「11歳以上の文鳥」は「11歳」として計算しています。
調査結果
文鳥の主食について、調査結果は次のグラフのとおりになりました。
解説
「シード主体」(59.0%)と「ややシード寄り」(20.6%)を合計すると79.6%になり、約8割の飼い主がシード主体の食事を与えていることが分かりました。
「ペレット主体」(5.1%)と「ややペレット寄り」(4.7%)を合計しても、9.8%にしかなりません。
もともと「日本の愛鳥家は海外に比べて自然志向が強く、ペレットが敬遠される傾向にある」と言われていました。「そうは言っても近年ではペレットを取り入れる飼い主も増えてきている」との声もありましたが、今回の調査結果を見るに、少なくとも日本の文鳥飼い主の自然志向はかなり強いと言えそうです。
しかしながら、ビタミンD欠乏症などの栄養失調の予防には、ペレットを取り入れた食生活が効果的です。シード・ペレットのいずれか一方が優れているということではなく、2つの選択肢の両方を正しく認識した上で利用していくことが大切ではないでしょうか。
シードの種類
調査結果
文鳥に与えているシードの種類について、調査結果は次のグラフのとおりになりました。
解説
アワ・ヒエ・キビ・カナリーシードの主要4種とその他とで大きく差がつく結果となりました。
主要4種に続くのは「青米」(716件)、「ニガーシード」(240件)、「そばの実」(118件)となります。
なお、「その他」(119件)の回答では、「オーツ麦(エン麦)」「オーチャードグラス」「フォニオパディ」「エゴマ」などが目立ちました。
主要4種の特徴や具体的な成分については既に下記の講義で解説を行っていますので、併せてご覧ください。
今回の調査結果を受け、青米やニガーシード、そばの実などの特徴も解説を行いたいと考えています。
副食の種類
調査結果
文鳥に与えている副食について、調査結果は次のグラフのとおりになりました。
解説
文鳥のミネラル源として昔から利用されてきた「ボレー粉」が、最も多くの回答を集めました(1,258件)。
2位にはヒナの一人餌練習によく用いられ、成長になってからも文鳥が喜ぶおやつとして与えられている「あわ穂」(593件)が続き、3位には「サプリメント」(388件)が来ました。
この調査結果で注目なのは、「煮干し」(235件)や「かつお節」(57件)といった動物性タンパク質を補給するための副食が、意外と利用されていない点です。
文鳥の主食の項で解説したとおり、文鳥の飼い主の8割はシード主体の食事を与えています。しかしながら、シードはリジンやメチオニン、トリプトファンなどの必須アミノ酸の含有量が低い傾向にあります。シードだけの食生活では、急激に体が成長していくヒナの時期や、換羽期、産卵期などにアミノ酸の不均衡からタンパク質の欠乏に至る可能性が高くなります。
もちろん、煮干しやかつお節の与えすぎは肥満につながるため、量に注意は必要ですが、これらの副食もうまく活用していきましょう。
なお、調査結果の「その他」(194件)では、キビ穂やヒエ穂、鶏卵黄や鶏卵殻、グリーンフードなどが挙げられていました。
動物性タンパク質の中でも、鶏卵黄、すなわち「ゆで卵の黄身」は非常に良質のタンパク質なので、換羽期などの必要に応じて与えると良いでしょう。
また、「グリーンフード」とは青菜を代替するために販売されているペレットの一種です。
ペレット・サプリメント
調査結果
文鳥に与えているペレットやサプリメントといった市販製品ついて、調査結果は次のグラフのとおりになりました。
解説
最も多い回答は「市販製品は与えていない」(477件)となりました。「分からない」という回答も350件と多く、ペレットやサプリメントに対する意識の低さが如実に現れる結果となりました。
そんな中でも、ペレットで最も支持を集めたのは、国産ブランドである黒瀬ペットフードの「ネオ・フード」(129件)となりました。それに続くように、「ラウディブッシュ」(112件)、「ハリソン」(98件)、「ズプリーム」(88件)と有名な海外ブランドが並びました。
サプリメントでは、ネクトンシリーズの常用サプリである「ネクトンS」が448件で最も人気という結果になりました。主に換羽期の栄養補給に利用される「ネクトンBIO」は大きく数を減らして145件、主に産卵におけるカルシウム補給に利用される「ネクトンMSA」はさらに減って23件となりました。
なお、「その他」(211件)の中では、ペレットの「ラフィーバー」(29件)や、キョーリンによるフィンチ用ペレットである「キラピピ」(26件)、イースターの「リトルバードセレクション PRO」(13件)が目立ちました。
サプリメントでは、乳酸菌を補うための「大好きん」(16件)や、液体サプリメントの「カルビタバード」(11件)が人気を集めました。
野菜の種類
調査結果
解説
昔から文鳥の食べる野菜として親しまれてきた「豆苗」(1,112件)と「小松菜」(922件)の2つに圧倒的な支持が集まり、一気に減って「チンゲンサイ」(358件)が続くという形になりました。
「文鳥に与えても良い野菜とは何なのか?」というテーマは昔から議論されており、情報が錯綜しているのが現状です。文鳥大学では各種文献を調査した結果を下記の講義にまとめています。
例えば本調査で4位につけている「キャベツ」(195件)は「甲状腺腫を誘発する危険性がある」と言われることがありますが、「キャベツにそこまでの危険性は無い」という反論もあります。
参考:文鳥と甲状腺腫
厳密な結論を下すためには、科学的な統制環境のもとで文鳥に野菜を与えて実験するしかないのかも知れません。
しかしながら、仮に厳密で確実ではないとしても「まず他の飼い主の皆は、愛鳥にどんな野菜を与えているのか」というデータの蓄積は、迷える飼い主にとって判断の指針になるはずです。
果物の種類
調査結果
文鳥に与えている果物の種類について、調査結果は次のグラフのとおりになりました。
解説
文鳥に与える果物として最もポピュラーなのは「ミカン」(685件)という結果になりました。文鳥にとって栄養的な価値もあると考えられており、様々な飼育書に「ミカンを食べさせよう」ということが書かれています。
一方で「果物は与えていない」という回答も618件と、多数寄せられています。というのも、文鳥のビタミン源として昔から最も重要なのは野菜です。果物を与えていないという回答が多いことは、「果物はおやつ」という位置付けが一般的であることの一つの現れであると言えるでしょう。
なお、「その他」(62件)の回答の中では「さくらんぼ」や「メロン」「ビワ」などが挙げられていました。「果物を怖がって食べてくれない」という回答も複数寄せられていることから、確実に果物を食べて欲しいのであれば、幼鳥の頃から訓練する必要がありそうです。
ヒナの挿し餌
調査結果
文鳥のヒナに対する挿し餌で何を与えているかについて、調査結果は次のグラフのとおりになりました。
解説
「アワ玉」が1,214件の回答を集め、最も利用されている挿し餌であることが分かりました。
アワ玉だけの挿し餌には栄養がほとんど無いため、ヒナが脚気になることが知られています。
しかしながら、挿し餌のベースとして現代でも人気があるようです。アワ玉をベースとしながらも、青菜やすり潰した煮干し、かつお節、卵黄、ペレット、サプリメントなどを配合して挿し餌を作るようにしましょう。
飼育書によってはアワ玉に替えて利用することがオススメされている「パウダーフード」は708件で2位となりました。
なお、中雛を迎えるなどしてヒナの挿し餌を経験したことのない飼い主も多く、「不明」の回答が多めになっています。
また、「その他」(134件)に寄せられた回答でも「ヒナから飼ったことが無いので分かりません」とのメッセージが多数ありました。
挿し餌の方法
調査結果
文鳥のヒナに挿し餌を与える方法について、調査結果は次のグラフのとおりになりました。
解説
最も人気があったのは「育ての親(プラスチックのスポイト)」(993件)という結果になりました。
育ての親のスポイトは非常に繊細で、ちょっと力を入れて扱うとヒビが入って欠けてしまいます。ヒナが破片を誤嚥する危険がありますから、慎重に扱いましょう。
次点はパウダーフードを与える際に利用される「チューブフィーダー」(257件)でした。
チューブフィーダーに関しては、ゴムの部分が劣化して分離してしまい、ヒナが誤嚥して中毒を起こしたという情報を目にすることがあります。
なお、「その他」(104件)に寄せられた回答の中では、「シリンジを使っている」という声が目立ちました。チューブフィーダーと同義か、ゴムを外して使っているという意味だと思われます。
食事で気をつけていること
調査結果
食事で気をつけていることについて、飼い主の皆さまに自由記述形式で回答頂きました。
総回答数は787件となり、非常に多岐にわたる回答を頂きました。
その中でも多かったのは「栄養バランスに気をつける」「ビタミンやミネラルも注意する」「カロリー過多に注意」といった栄養に関する事柄で、201件ありました。
次に多かったのは「1日ごとに決まった量を与えて減り具合を確認する」「1日で食べ切れる量を与えて、偏食を防止する」といった量に関する事柄で、161件ありました。
また、「毎日交換する」「新鮮なものを与える」「カビていないか確認する」といった鮮度に関する事柄に触れている回答も多く、143件ありました。
その他に目立った回答としては、「人間の食べ物を与えない」「餌入れに溜まったシードの殻を吹いて飛ばし、食べやすくする」などがありました。
以下に、お寄せ頂いた回答をいくつか引用させて頂きます。
バランスよく、食事が楽しい物になるよう色々あげる。毎日捨てて毎日新しいものをあげる。
毎日ほぼ同じ量の食事を用意して消費量を確認しています
飛ばしてし下に落としてしまうこともあるので、敷紙の殻や糞の量も併せてチェックしています
過度の栄養を与えない。信用のおける鳥専門の医師に文鳥は粗食が一番と言われ。たまにおやつ(粟穂や果物)はあげます。頻繁にはしない。
何が正解かはわからないけれど、なるべくいいものを食べて欲しいので有機栽培などのシードを取り寄せてます。好きな物(カナリーシード)を選って食べがちなので基本のシードとおやつのシードに分けて与えています。シードだけでは偏るので野菜(ビタミン剤も)や煮干しでビタミンとタンパク質を補えるようにしているつもりです。
体調変化がなければ、毎日同じ量を与えている
メスの場合は発情抑制のため、体重管理をしています。なので食事量は午前に与えた量を見て、午後調整して与えています。(朝1日の量を与えると午前中にすべて食べてしまうため)
海苔や魚を皮を見ていないすきに毟って食べていることがあるので食事準備中から終わるまでは放鳥しない
1歳未満の細めの子なので今は食べたいだけ食べさせている。今後は体重変化や発情の有無に気をつけて食事量も調整していこうと思っています。人間の食べ物に興味津々ですがぜったい与えないようにしています。
新鮮な地元のお野菜が大好きなので、出来るだけそれを仕入れてあげてます。
あとはシードをカビさせないようにしてます。
基本は市販の皮つきシードミックスで、青米とヒエとペレットとボレー粉を追加で混ぜて与えている。ペレットはなくなるごとに種類を変える。
食べ過ぎより食べられなくなることのほうが怖いので多めに入れており、おそらく食べる分より投げ捨てられている分のほうが多いような…
療養中で食事制限や投薬のある子は別途対応
粟穂はみんな好きで与えるとごはんそっちのけで食べてしまうので、換羽時・体重減少時等以外は常設せず放鳥時のおやつに出している
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